『犬』中勘助・著
ガズナのマフムードがインド侵攻した頃の、元婆羅門僧と或る少女のお話。「元」というのを強調しておきます。ヒンドゥー教の方にはおすすめしません。回教の方にも同様に。題名は『犬』ですが犬好きも読まない方が良いと思います。登場するもの軒並み悲惨な目に遭います。肉欲に負け宗教を棄てた元僧がやりたい放題やらかします。元僧や回教の男に少女に対する愛情があればまだ救いがあったのですけどね……いや、こういった作品に救いがあってはいけないんでしょうね。人の醜悪さをこれでもかと読者の眼前に叩き付けて来る作品です。
正直申しまして、気分が悪くなって読むのを挫折しかけた事が何度かありました。文章がねっとりまとわりつくようで、これをあの『銀の匙』を書かれた方が書いているという事実にも驚きます。
ヒンドゥー教には輪廻転生の概念があるそうなので、少女が来世で幸せになる事を祈らずにはいられません。
今回作ったのは、ヒンドゥー教では禁忌の牛肉を使った激辛スパイスカレー。ロティとカットした檬果を添えて。
スパイスカレーは文体のねっとり感を出すべくココナッツクリームを少々加えてあります。激辛、かつ後味は少女の最期を思いスッと抜けるようにスパイスをブレンド。めちゃくちゃ辛いのですが美味しく出来たので食べていて複雑な気持ちになりました。
檬果は元婆羅門僧の庵の前にあるとの事なので、お口直しに添えました。
ちなみにインドには他教徒もたくさん住んでいるので牛肉を使ったインド料理もあるのだそうです。
[2023.07.26]読書感想と料理についての記載を加筆。