『明るく晴れている海だって始終さざなみはあるもの、それだから海はきらきらと光っている。』
幸田文『さゞなみの日記』より
母、娘、お手伝いさん。三人の日常のさざなみを描いたお話。仲の良い母と娘にある微妙な距離感や一人立ちする時の心境、寡婦であるお手伝いさんの変化など、心の移り変わりが丁寧に描かれている感じがしました。
親しみのある文章で気負わず読めます。世間話を聞いている気分になりますね。擬声語も馴染みのあるものが使われていて、それがより日常的雰囲気を醸しているように思います。
それにしても、昭和中期でも女性は結婚しないと人生を変えられなかったのですね。それともこのお話の時代設定が昭和初期なのでしょうか。
今回作ったのは鯛の兜煮、小鯛笹漬けと鯛の煮こごり、鱈のフライ。それぞれ多緒子、緋緒子、石山さんのイメージです。
兜煮と煮こごりは鯛の持つ色を活かしたくて透明の醤油を使いました。
鱈のフライ、玉子を使わない方がカリっと仕上がると聞いて試してみたのですが本当ですね。