金田一京助『日本の敬語』より



言語学者、金田一京助先生による敬語の本。語学の視点で敬語を分析しています。知らない事がたくさん載っていて興味深く拝読しました。


「おほとのごもりましぬ(大殿籠りましぬ)」

 →「He slept」

なるほど、英語の場合相手が貴人であっても日本の敬語のようなややこしい文法はあまりないかもしれないですね。丁寧な言い方をすることはありますが。それが修辞的に丁寧形にして敬意を表現するということですね。


タブー(tabu)「禁忌」から敬語が発生するというくだりでアイヌの敬語についても書かれています。そういえば金田一先生はアイヌ語学・アイヌ文学も研究していらっしゃいましたね。

この中に、

『「影」(kur)を「付ける」(ushte)とは、露骨に、むき出しに言わず、含みを持たせて、わざと多義に言うことで、それが尊敬の情を表わす敬称の形となった。』

と書かれています。そういえばアイヌの言葉は遠巻きな表現をするのだなと感じていたのですが、敬意の表われだったのですね。

アイヌの成人男子は互いに敬語で話しているというのも初めて知りました。


それから興味深かったのは平安時代と奈良時代で敬語が異なるというくだり。その時代の本を読む際は訳すのに必死で気が付きませんでした(本の虫のくせに古語が苦手)。


巻末附録の『これからの敬語』は現代でも参考になる内容です。しかしお互いに敬意を表わすための言葉が今では記号的になっているというのも何だか世知辛いですね。



ところで、実は本書にちらっと細川幽斎(細川藤孝)様のお名前が登場します。語学の本にも名前が挙がるのはさすが古今伝授を受けた文武両道の将でいらっしゃいますね。金田一先生は『耳底記』から当時の口語を参考になさったそうです。




今回作ったのは大和民族とアイヌ民族それぞれのおもてなし料理。

秋鮭の幽庵焼き、チポㇿシト。それに本土で手に入る材料でチタタㇷ゚を作ってみました。生食出来るほど新鮮なものがなかなか手に入らず、ほぼほぼ塩なめろうになってしまった。泣いてない。

秋鮭がおいしい季節になりましたね。ヒンナヒンナ。