『久方のアメリカ人のはじめにしベースボールは見れど飽かぬかも』
『国人ととつ国人と打ちきそふベースボールを見ればゆゝしも』
『若人のすなる遊びはさにあれどベースボールに如くものはあらじ』
『九つの人九つの場をしめてベースボールの始まらんとす』
『九つの人九つのあらそひにベースボールの今日も暮れけり』
『打ち揚ぐるボールは高く雲に入りて又落ち来る人の手の中に』
『なかなかに打ち揚げたるはあやふかり草行く球のとゞまらなくに』
『打ちはづす珠キャッチャーの手に在りてベースを人の行きがてにする』
『今やかの三つのベースに人満ちてそゞろに胸のうちさわぐかな』
新聞『日本』(一八九八年発行)より、正岡子規・作
夏。
甲子園。
名勝負の連続で高校野球から目が離せない日々が続いております。やはり夏はこれが無いと、ですね。
ということで今回は野球を題材にした作品をテーマにしてみました。文学ファンにはもはや常識で今さら感もありますが、やはり野球といえば正岡子規先生を挙げない訳には参りません。先生がベースボールについて綴られた作品は他にもあるのですが、真っ先に思い浮かんだのが『ベースボールの歌九首』でした。ベースボールが九人制である事に因んで九首詠まれたのだそうです。
そのどれもが溌剌として、情景や緊張感が言葉の端々から伝わってくるのです。思わず頭の中で白球の行方を追ってしまう『打ち揚ぐる~』も素敵ですし、『今やかの~』からひしひしと伝わる緊迫した空気といったら。子規先生、本当に野球がお好きだったのですね。
今回作ったのは、野球ボールをイメージして盛り付けた夏野菜たっぷり鰻たま茶漬けです。
鰻、玉子、オクラ、ズッキーニ、枝豆、葱、ごはん、カニかま、ダシの九つで作ってみました。栄養バランスを考えると海藻サラダとフルーツも添えたいところ。
ちなみにシームの部分を手早く盛り付けるのは慣れがいると思うので、キャラ弁的なもので作るならもう少しディフォルメして赤いライン一本にした方が良いかもしれないです。
野球ボール風に九つの食材で、食べたら体力付きそうなものを作りたかったのです。