『思わず彼は拾い上げた桜の実を嗅いでみて、おとぎ話の情調を味わった。それを若い日の幸福のしるしというふうに想像してみた。』



島崎藤村『桜の実の熟する時』より


学問や将来のこと、そして恋。少々潔癖な感のある主人公が、悩みを抱えながらも未来へ向かう青春小説の金字塔。前向きで爽やかさすら仄かに香る読後感。
桜の実に少年から青年への成長を写し見る。写生的で詩情溢れる筆致が素敵なのです。


今回作ったのは桜の実のサラダ、桜の実の煮物、桜ごはんのおにぎり。
桜から桜の実へ成長するイメージと、桜の実を拾う場面をテーマに作ってみました。
煮物は食感を生かす為にひと沸かししただけなので、どちらかというと和え物かもしれません。