獅子文六『コーヒーと恋愛』より


売れっ子ワキ役女優、モエ子を中心とした昭和レトロな恋愛小説。

軽妙で諧謔的、とても読みやすいです。人を楽しませることに重きを置いている感じがしますね。昭和中期のテレビ業界を垣間見れるのもちょっと面白いです。「近頃のテレビは、ビデオどりという調法なものがあって、前どりが出来るのである。」というくだりがあって、その前はどうしていたのかと思って調べたら生放送だったのですね。凄いなぁ。

主人公のモエ子は女優さんなのですが、お人好しな行動と言動で何だか親しみが湧きます。

それにしても勉君の身勝手さが凄い(菅さんは周囲に押されてのことなのでそういうものかな、と)。終盤、勉君がコーヒーを飲む場面はモエ子に愛想を尽かされても仕方ないと思わせる渾身の描写でした。最後はいっそ清々しいです。




今回は丁寧に淹れたコーヒーに、バターを塗ったフランスパンを添えてみました。

コーヒーはキリマンジャロとグァテマラ。

お店でローストしたての豆を購入したのですが、とても良い香りです。周りに添えた豆は深煎りなのでそのまま食べられますが、基本的にはあしらいです。後でビーンズチョコレートにしようかと(最初はビーンズチョコレートを添えようかと迷ったのですが、作中で「コーヒーに甘いものは合わない」と書かれているので断念。個人的にはコーヒーに甘いものの組合せも大好きです)。

一緒に添えてあるコーヒービーンズ型のブラウンシュガーはカル○ィのものです。かわいい。