高田敏子『あなたに』より
ほうれん草の葉を支える紅の色、そしてそれを冷たい水でていねいに洗う姿。奥ゆかしいやさしさが重なる、素敵な詩です。
「ひとりの時間のなかをさまよっていた」から漂う寂しげな余韻。初めは誰にも見られずに洗っているからなのかと思ったのですが、「ひとりの時間」ということはどちらかというと以前は誰かのために洗っていたのが、その人がいなくなったのかもしれないなと。後で知ったのですが、お子さんが自立された後に書かれた詩だったのですね。この詩から感じたやさしさやほんのりした寂しさや、ふわふわしていた色んな感覚が胸に落ちた感じがしました。
[2022.04.04]追記
作り直してみました。
今回作ったのはほうれん草の根元のおひたし、ほうれん草の根っこのきんぴら、ほうれん草の味噌汁、ほうれん草のごま和え。
根っこを使った料理と葉を使った料理、両方あった方が対比が出来て良いかなと。
根元のおひたしは泥を丁寧に洗い出します。こびりついた泥は包丁でカット。根っこの部分はごぼう並みに硬いので切り込みを入れてから茹でます。
根っこは千切りにしてから水にさらし(ほうれん草のシュウ酸は水溶性のため)、酒、みりん、薄口醤油で味付け。
根っこ付きのほうれん草が売っていたので、思わず作ってしまいました。