『国境の長いトンネルを抜けると雪國であった。』



川端康成『雪國』より


言わずと知れた川端康成先生の代表作。

表現が今なお斬新で美しい。読み終わると同時に、まさしく「鑑賞」していたことに気付く。天の河が流れ落ちる様を視るのです。

窓に映る葉子や雪晒し、最後の天の河のくだりも好きなのですが、個人的には駒子が島村の前で三味線を弾く場面が一番好きです。この時代に書かれたお話で女性が格好良く書かれているのを久しぶりに読んだ気がする。一方で、その立場の不自由さが際立つようにも感じます。

それと、終盤の葉子の激情はいっそ純粋に見えて背筋が凍る思いがしました。




今回作ったのは、朝雪をイメージして作った惣菜羮、百合根のペースト、玉葱(ペコロス)の煮物。

(惣菜羮は正式な料理名ではありません。甘くないおかず系の寒天で、かつ、寒天寄せでは無いものを個人的に「惣菜羮」や「おかず寒天」ですとか、そういった呼び方をしています)

惣菜羮のほんのり赤い層は金時人参の絞り汁を少しだけ入れています。下の層は出汁味の淡雪羮。この層はもっと厚くても良かったかなと。ふわしゅわ食感です。

百合根と玉葱は駒子の場面ですね。朝雪も駒子か。「清潔な美しさ」を意識して作ってみました。百合根は洋食に、玉葱は和食に。