『石本俊吉この手紙を持って行く。君はできるだけの助力をこの人物に与うべし。小生生まれて初めて紹介状なる物を書いた。』



石川啄木『雲は天才である』より



歌人・詩人として高名な石川啄木先生が小説家志望であった事は当ブログを御覧頂いているような方は先刻ご承知かと思いますが、そんな啄木先生が初めて書かれた小説がこのお話です。

学校で代用教員を勤める新田と、放浪の青年石本。若者二人の出会いの物語です。なお未完。

前半は新田の勤務先での鬱屈を、後半は石本のこれまでの人生を描いています。友人・朱雲を通して邂逅する二人。ここからお話が展開するのだろうな、というところで終わっていてとても続きが気になる。

地の文が詩情に溢れていて流石だなぁと。書き手の感受性の強さからか、登場人物の感情の起伏が激しく嵐のようです。序盤の課外教授のくだり、言葉を火箭とし燃え広がるその情景描写はもはや詩であると思うのです。完結した状態で読みたかったなぁ。




今回作ったのは九つの丸飯、鰻と馬鈴薯の和え物。朱みを入れたかったので、赤かぶ漬けの刻んだのを添え、さらに赤かぶ漬けのあんも作ってみました。赤茶のソースっぽいものは鰻のタレを煮詰めたもの。

丸飯は大きなもの九つだとお皿に乗せるのは難しいので、大きなもの一つか、ひと口サイズを九つかで迷った結果後者にしました。土鍋炊きなので所々おこげがあります。