『かねた一郎さま 九月十九日
あなたは、ごきげんよろしいほで、けっこです。
あした、めんどなさいばんしますから、おいで
んなさい。とびどぐもたないでくなさい。
山ねこ 拝』
宮沢賢治『どんぐりと山猫』より
一郎さんのもとに届いた「山猫拝」とある一枚のおかしなはがき。山猫は、どんぐり達が誰が一番えらいかと揉めているので一郎の考えを聞きたいと言うのです。
比較することされること、こうして物語として俯瞰して見ると何とも言えない気持ちになりました。一郎さんの解答は宗教的なものを感じます。えらくない人がえらい。禅問答っぽい。
ところで、最後の山猫が提案したはがきの文言が対等でないのが気になります。冒頭のはがきではおねがいなのに、次回からは「出頭すべし」とは。そういえば『注文の多い料理店』でも山猫は悪役でしたね。一郎さんにとっては金色の草地の裁判はわくわくするものだったようですし、それで「出頭すべしと書いてもいいと言えばよかった」と、ときどきは思ったのでしょうか。
今回作ったのは、どんぐりムース、どんぐりクッキー、山猫チョコレート、栗の甘露煮、栗ゼリー。
金色の草地の裁判をイメージしてみました。
国産どんぐり粉使用。
と言いますか、どんぐりは食べられるのですね。
どんぐりのエグみの主な成分はタンニンと知り、それなら抹茶と同じような感覚で使えるのでは?と言うことでムースとクッキーにしてみました。結論から言いますとなかなか美味しい。独特の渋みや苦み、香ばしさ。量が少ないとどんぐり感が出ませんし、多いとエグみが最前に出てしまう。調整が難しいです。あと個人的にはチョコレートと合うと思います。
ムースの中にはマロンクリームを絞ってあります。栗ゼリーは甘露煮の煮汁で作ってみました。
もう10月ですが気にしない。