芥川龍之介『おぎん』より
隠れキリシタン一家の物語。
おぎんは亡くなった実の両親が天主教宗徒では無かったので地獄にいると思っており、その為、自分だけ天国に行っては申し訳ないので御教を捨てると言い出します。ですがそれと同時に、教えを捨て地獄に落ちるとしても、天国に行くであろう育ての親と共に火刑に処されようとするのです。
そして、おぎんは孫七とおすみに一緒に堕落しようと(共に生きようと)言うのです。
これは本当に堕落したと言えるのか。
芥川先生の筆は、泣き伏し再び顔を上げたおぎんの姿に神々しさを与えているように思います。悪魔らしさと言うべきか。いや、
『「
ですね。
おぎんの心象風景や瞳の光、孫七の心の揺らぎが一語一語丁寧に描きとられており、また、法律があるからと火刑を実行しようとする代官や、ただの見物人達が棄教した三人を憎む姿との対比がまるで宗教画のようなのです。
今回作ったのはラスクのダークチョコレートがけです。無花果チーズクリーム、無花果ゼリー、蒸し麦を添えて。おぎんの心象風景と、ダークチョコレートで堕落するイメージを表現してみました。棒状のラスクが二つ重なっているだけなので十字架にはなりませんね。そうですね。
(隠れキリシタン弾圧という事でもっと抉る感じの一皿も考えてみたのですが、どうしてもこの作品を表現するのに肉や魚を使う気になれなかったのでこうなりました)