井上靖『晩夏』より
夏の終わりの海町と、遠い初恋のお話。
盛夏の頃には別世界の人形のように感じていた少女が、海浜が寂びれ自分たちの海浜を取り戻すと同時に一人の美しい少女として見えるようになる。
少年の葛藤が何とももどかしく、最後のバスを追い掛ける場面では訳もなく泣きたい気持ちになりました。最後まで追い掛けたのが主人公では無いのがまた切ない。
心理描写も情景描写も素晴らしく、とても短い晩夏という季節の終わりと初恋の終わりが二重写しになるのが胸を抉るのです。
胸の奥の愛しい日々をそっと紐解くような、そんなお話でした。
今回作ったのは、三種の魚のタルタル、鯛の茗荷巻き、パインナップルゼリー。
タルタルと茗荷巻きは砧家のイメージ、パインナップルゼリーは主人公のイメージ。
タルタルと茗荷巻きの上に乗っているのはえびっ子(甘海老の卵の漬物)です。晩夏の暗い海を表現したくて乗せてみました。
ゼリーはパインナップルの缶詰を使っています。こちらも晩夏の海を表現するため、パインナップルシロップ、ブルーキュラソーシロップ(ノンアルコール)、コーラ、レモン果汁、天然水で作成。