『慈雨到る 絶えて久しき 戸樋奏で』
高浜虚子『六百五十句』より
渇いた土地に雨が降り、戸樋(雨樋)を打つ。それは美しい音だったのだろうなと想像するのです。雨音を聴くのは良いものですが、それが水不足の頃であれば殊更耳に心地好いでしょうね。
水不足やその他、水を必要とする時に降る待ち望んだ雨を「慈雨」「喜雨」と呼ぶのだそうです。
とても個人的な話ですが、雨が大好きなので、雨がこんなに綺麗に描かれているのが嬉しかったのです。
今回作ったのは、下にチュイールを敷いた少々変則的な紫陽花、水出しのバタフライピーティー。
白状しますと、チュイールを昭和(おそらく初期)建築によくある雨樋の形にしようと思ったのですが、そちらは形が崩れてしまったので葉っぱの形の方を採用しました。紫陽花感が強くなってこれはこれで良しということにします。
色にめちゃくちゃ拘りました。くすみ要因でほんの少しだけ竹炭を混ぜてあります。雨の優しい色合いを出したかったのです。
バタフライピーの乾燥したお花が、水を吸って徐々に形を取り戻して行くところがポイントです。