
森茉莉『薔薇くい姫』より
七十路の主人公・魔利の、日常の理不尽に対する怒りを描いたお話。といっても所々ユーモアも交えているので深刻になり過ぎず読みやすかったです。
刻が飛び去る場面の文章が好きです。飛び去るという表現が美しく儚く、絶望的だな、と。
老年期の魔利が薔薇の花を食べる場面にも退廃的な美を感じました。
そんな場面があったかと思えば、煮込み料理を作りこれからパクつこうと希望に燃えている様は何ともユーモラスで可愛らしい。
ご自身をモデルにされているそうですが、随筆というよりは自然主義文学のような感じでしょうか。
全体的に生き生きとした力強いお話でした。
今回作ったのは作中に登場した肉とキャベツの煮込み料理。それに薔薇と柿の葉とパセリのサラダです。
柿の葉はそのまま食べるのは難しかったので、乾燥したものをみじん切りに。白いので分かりにくいですが、下にフレンチドレッシングを敷いてあります。カリカリに焼いたベーコンビッツも添えたので柿の葉は食感的にも味的にも問題なかったです。エディブルフラワーの薔薇は花びらだけ食べます。
煮込み料理については作中の通りに(薔薇とパセリは飾りです)作ったのですが、キャベツは見事に溶けました。