『と、見る見る視野がひらけた。
 思いがけぬ崩壊が風をおこして、地上の濛気が裂けたのである。とたんに、三人がはっと息を窒めた。』


小栗虫太郎『人外魔境』より



戦時下、秘境の攻略は領土拡大や諜報の側面も持つ。そんな時代の魔境探検を主軸にした冒険小説です。SFや恋愛要素も有りで、一話完結のシリーズ物で短編集。所々差別的な表現がありますがあくまでも当時の世相を写したものとして読みました。

三話:天母峰(ハーモ・サムバ・チョウからは冒険家・折竹孫七が主人公として登場するのですが、そこからは折竹無双というか何というか、自己犠牲を賛美する思想もあいまって時代をひしひしと感じます。終盤はスパイ物のようでもありますね。

「冒険家」から話を聞いて小説を書く「私」の関係はミステリに良く見る構図ですね。その辺りは流石ミステリも書かれる先生だなあと。

緊迫した場面では映画の煽り文句を彷彿とさせる文体になる等、エンターテイメント性を強く感じるお話でした。




今回作ったのは枝豆のフムス、こごみの塩茹で、やげん軟骨の塩焼き。クナーファを揚げ焼きしたものとオリーブを添えてあります。

秘境の雰囲気を出したかったのでシダ植物であるこごみを使いました。塩はクレイジーソルト。

それから、沼や踏むと割れてしまう不安定な地層等をイメージしてフムスの上にクナーファをのせてみました。クナーファをパリパリ割ってフムスと一緒に食べるのです。