『序の歌
しづかな歌よ ゆるやかに
おまへは どこから 来て
どこへ 私を過ぎて
消えて 行く?
夕映が一日を終らせよう
と するときに──
星が 力なく 空にみち
かすかに囁きはじめるときに
そして 高まつて むせび泣く
絃のやうに おまへ 優しい歌よ
私のうちの どこに 住む?
それをどうして おまへのうちに
私は かへさう 夜ふかく
明るい闇の みちるときに?』
『Ⅵ 朝 に
おまへの心が 明るい花の
ひとむれのやうに いつも
眼ざめた僕の心に はなしかける
《ひとときの朝の この澄んだ空 青い空
傷ついた 僕の心から
棘を抜いてくれたのは おまへの心の
あどけない ほほゑみだ そして
他愛もない おまへの心の おしやべりだ
ああ 風が吹いてゐる 涼しい風だ
草や 木の葉や せせらぎが
こたへるやうに ざわめいてゐる
あたらしく すべては 生まれた!
露がこぼれて かわいて行くとき
小鳥が 蝶が 昼に高く舞ひあがる』
『Ⅹ 夢みたものは....
夢みたものは ひとつの幸福
ねがつたものは ひとつの愛
山なみのあちらにも しづかな村がある
明るい日曜日の 青い空がある
日傘をさした 田舎の娘らが
着かざつて 唄をうたつてゐる
大きなまるい輪をかいて
田舎の娘らが 踊ををどつてゐる
告げて うたつてゐるのは
青い翼の一羽の 小鳥
低い枝で うたつてゐる
夢みたものは ひとつの愛
ねがつたものは ひとつの幸福
それらはすべてここに ある と』
立原道造『優しき歌 Ⅱ』より
『優しき歌 Ⅰ』の後半にあたる本です。出版されたのはこちらが先なのだそうな。編集されたの堀辰雄先生なのですね。知らなかった。
立原道造先生の詩は全体的に柔らかくロマンチシズムが色深く、言葉の切り方も独特で音楽を聴いているような印象があるのですが、この詩集は特にそれを強く感じました。
青い空、青い鳥、花、星、涼しい風。全体的に明度が高い言葉が多いですよね。読んでいて幸せな気持ちになるような素敵な詩集です。
今回作ったのは……先に懺悔しておきますが、白飛びの限界に挑戦したため写真が暗くなってしまいました。申し訳ありません。白いお皿に淡色じゃそうなりますよね。やってもうた。
改めまして。
今回作ったのは、ヨーグルトムース、チーズムース、レモンソーダゼリー。中央はヨーグルトアートの青い空。青い小鳥のチョコレート細工です。全体的に爽やかな甘さを目指してみました。『夢みたものは....』の影響が強いです。
青い部分にはブルーキュラソーシロップを混ぜてあります。お花はエディブルフラワー。