『恋愛とはいかなるものか、私はよく知らない。そのいかなるものであるかを、一生の文学に探しつづけているようなものなのだから。』
坂口安吾『恋愛論』より
恋愛観を書いた随筆。
論というからには論文のようなものを想像して構えて読んでみたらこの書き出しで早々に「いや知らんのかい」と突っ込んでしまった読者はそこそこいると思っております。いや、でもそれはそうですよね。よく分からないものだから文学的な魅力もあろうというものです。たぶん。
キリスト教を日本で広めるにあたり愛という言葉で苦労した話は大変興味深かったです。
色恋の話としては、大人の恋愛観なので初恋の頃に読んでもあんまり響かないかもしれませんね。でもそれで良い。作中でも、
「年齢には年齢の花や果実があるのだから、恋は幻にすぎないという事実については、若い人々は、ただ、承った、ききおく、という程度でよろしいのだと私は思う。」
とありますし。
逆にそれなりに恋愛経験してから読むと滲みるというか痛いというか。ところで得恋という言葉は可愛らしくも力強くて良いですね。成就した恋を得恋というのだそうです。失恋と得恋は苦痛において同価というくだりで物凄く共感してしまいました。ほんとそれ。
今回作ったのは、チョコレートと黒すぐりの和風カンノーリ。とても分かりにくいですが、ハート型の生地を筒状に焼いてあります。カンノーリは本来生地を揚げますが、こちらは焼きです。リコッタチーズクリームは、白いほうには刻んだチョコレート(ミルクとエクストラビター)が入っています。紫の方は黒すぐりのペーストを混ぜ混み、実を飾ってみました。
甘酸っぱく、そして苦い。恋はいつか終るもの。でもまぁ、人生の花を楽しむ余裕は持っていたいものです。
そんな訳で、少し早いですがハッピーバレンタインです。
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