『君がため 春の野に出でて 若菜摘む
 我が衣手に 雪は降りつつ』


『古今集』より、光考天皇・作


教科書や百人一首でお馴染みの歌ですのでもはや説明不要かと思いますが一応書いておきます。
[訳]
あなたのために初春の野で若菜を摘んでいます。菜を摘む袖に雪を降らせながら。

若菜摘みといえば新年始めの子の日に、野原の食べられる草や薬草、野菜を摘んで食べ、無病息災を祈願すること。若菜を食べて欲しい人はきっと大事な方なのでしょうね。健気な感じがして好きなのです。
そして何より「我が衣手に 雪は降りつつ」という静謐な言葉の美しさよ。



今回作ったのは七草粥、京菜花の白和え、出汁に浸けた湯葉を添えて。
七草粥というと野趣溢れる味わいですが、柚子を散らすと心なしか爽やかになります。出汁はしっかりひいて、塩で味を整えます。
ソースのように盛り付けたのは白和えの豆腐。基本的な白和えは水切りした木綿豆腐を使いますが、大豆が濃い絹豆腐を水切りせずそのまま使うとクリームソースのような滑らかな口当たりになるのです。