井伏鱒二『厄除け詩集』より


暮の三十日に作りたかったのです。
屋根の上から年の瀬を俯瞰して始まり、降りて子供との団欒で終る『歳末閑居』。ほのぼの。

『逸題』は仲秋名月の詞ですが、好きなのでお皿の上に入れてしまいました。初恋を偲ぶ夜、独り酒をのむというのがそこはかとないほろ苦さと人生の円みを感じて素敵だなぁと。途中普段通りであろう話言葉が入るのがまた良いんですよね。
それにしても『万障くりあわせ』『われら独り酒をのむ』の意味を考えてしまいます。万障くりあわせるのですから誰かと予定を合わせるのですよね。
ふと思ったのですが、初恋の方の御命日だったのかもしれないな、と。そんな方が他にもいらしたのかもしれないな、と思ったのです。実際のところは分かりませんけどもね。謎の方が魅力も増すというものです。
書いて置いて何ですが些か無粋を申しました。



今回作ったのはつくだ煮の小魚の寒天寄せ、蛸のぶつ切り、枝豆の塩茹で、するめの梯子、部屋の窓は塩鮭の皮をパリパリになるまで焼いたものです。
それにしてもthe 酒の肴。よし呑むか。



本年の更新はこれが最後になると思います。
色々あった一年でしたが、この一皿をこの一年の厄祓いとしたいと思います。
皆さま御自愛下さいね。
良いお年を!