矢田津世子『茶粥の記』より


良人を喪った嫁と姑の、その後のお話。
数々の想い出と、姑と共にその先へ向かう姿が描かれています。
無理する訳でもなく前向きな感じが沁みるのです。何をしていてもふとした時に良人の姿をそこに見る。でもお別れなのです。
嫁と姑というよりは睦まじい母娘のようなやり取りがまた微笑ましい。繊細で柔らかな筆致。梅の古木の高い香りがこちらまで匂ってくるようです。



今回作ったのは梅干し入りの茶粥と、かぶとしらすの和え物。
茶粥は作中の作り方を参考に、沸騰したら古い梅干しを入れ、あまり煮詰めず最後に緑茶の良いのを投入。さらっとした梅茶粥にしてみました。
二羽の鳩を添えたかったので、かぶを摺りおろしたものとしらす、それに白ごまとかぶの葉をさっと湯がいてみじん切りにしたものを和えて鳩の形に抜きました。
粉末状のものは緑茶。

なおこの梅干し、平成14年に漬けられたものなのです。塩が一部結晶化しているのですよ。食感が干し柿にも似ていて美味しい。