澁澤龍彥『高丘親王航海記』より
大蟻食いの登場時などしばしばメタ的な視点の表現があったり(登場人物自ら「アナクロニズムの非を犯す」と言い始めたり)、動物が当たり前のように人の言葉で話したり、初めは幻想文学寄りなのかと思っていたのですが、そこかしこに世界史的な解説が挟まれたり。読み進めて行く内にその不安定さが、ああこれは夢なのかと腑に落ちたのです。何処からが夢なのか、あるいは全て夢なのかは分かりかねますが。
短くはありますが、儒艮の為に笛を吹く場面の美しさが特に印象に残っています。
なお艶事も結構具体的に書かれているので苦手な方もおられるかと。最後まで読むとこれらのくだりも生きることの象徴だったのかなと思われました。薬子は親王が出会った人物の中で一番鮮やかに生きた人物なのかもしれないなと思ったのです。
末期の微睡み、回想と理想。
今回はフルーツ盛り合わせにしてみました。
船のイメージでパイナップルボート、バナナの儒艮、後ろのパイナップルの葉は迦陵頻伽の羽根をイメージ。チョコレートの岩に真珠(親王)と翡翠(薬子)を。
真珠はマンゴスチンの実の一番大きな粒にパールパウダーを薄くまぶしたもの。翡翠はシャインマスカット。