『安寿恋しや、ほうやれほ。
厨子王恋しや、ほうやれほ。
鳥も生あるものなれば、
疾う疾う逃げよ、逐わずとも。』
森鴎外『山椒大夫』より
今回作ったのは干し貝柱を乗せたあわもち、蓮の実の煮物、ちりめん山椒。
あわもちには芽葱をのせ、干し貝柱でとった出汁にお好みの量の塩を溶かし、それを上からかけて完成です。あわもちと干し貝柱は母親の、塩を混ぜた出汁は安寿と厨子王のイメージです。塩と芽葱は潮汲み芝刈りから。混ぜて家族が一つになるように。
『女は雀でない、大きいものが粟をあらしに来たのを知った。そしていつもの詞を唱えやめて、見えぬ目でじっと前を見た。そのとき干した貝が水にほとびるように、両方の目に潤いが出た』の辺り。
それから親子を分けるように中央にちりめん山椒を置いてみました。かなりの辛口です。
そして地蔵菩薩様のイメージで、蓮の実の炊いたものをそれぞれの器の横に添えました。出汁とお塩でほっくり炊き上がりました。ちりめん山椒でピリッとしたら辛みを抑えるのに食べると丁度良い感じです。ほんのり甘くて栗のような食感。
八百屋さんに実山椒が売っていたので作ってみました。