中島敦『南島譚』より
パラオの昔話や「先生」と現地の人々のやり取りなど、異なる価値観と豊かな風土が噛み締めるように描かれています。人間を強く感じる作品集でした。
一番好きなのは『幸福』かな。夢の中で青年と第一長老が入れ替わるというちょっと不思議なお話です。その後二人がどうなったのかは描かれておらず、島は八十年前に陥没してしまい、このような幸せな夢を見る男はパラオ中のどこにもいない、と幕が引かれます。日本の昔話だと二人のその後を描いて終わりそうなところですが、盛大にズームアウトして終わるのが面白いなと。
ところでこのお話たちは『鷄』の最後に書かれていることが全てのように感じています。パラオの人々を分かりたかったのかもしれないな、と。想像ですけどね。実際はどうなんでしょうね。
今回作ったのはココナッツドリンクと、ウカエブ風の蟹のココナッツミルク煮です。
パラオ料理を日本で手に入るもので作ろうとしたらこうなりました。イメージは砂浜。
実を割って出てきた天然のココナッツジュースを冷蔵庫で冷やし、レモン果汁を加えたらスポーツドリンクのような味になりました。本当はトロピカルドリンク風にアレンジしようと思っていたのですが、これはこれ以上は無粋かなと。ごくごく飲めます。美味しかった。キンキンに冷やすのがポイントです。スプーンでコプラ(白い部分)を削って食べたりもします。
なお、ココナッツをこの写真のようにカットするには腕を鍛えていない限り筋肉痛を覚悟する必要がありますのでご注意下さい。カット完了まで包丁入れから約一時間。
それにしても近所のお店の食品売り場でヤングココナッツを見掛けるとは思いませんでした。
ウカエブは本当はマングローブ蟹で作りたかったのですが流石に日本では手に入り難く、それなら日本の蟹で作ってみようと。
蟹は茹でてほぐし、ココナッツミルクを加えて弱火で煮込み、塩胡椒で味を整え、蟹の殻に詰めて冷やしたら完成です。蟹クリームソースのような濃厚な味がします。ココナッツの風味が強い。