澁澤龍彥『バビロンの架空園』より
植物をテーマにしたエッセイ集です。以前出版されたもののアンソロジー。
植物やギリシア神話や古代文明、美しい言の葉にのせて様々な知識がとめどなく溢れ、頁を捲る手が止まりませんでした。
植物だけでなく、神話や考古学的ロマンティシズムに惹かれる方なら楽しめると思います。面白かった。
[2022.03.28]追記
アッシリア帝国でも飲まれていたというお酒・アラックと、生の棗の実が手に入ったので作り直してみました。日本で生の棗が手に入るとは思いませんでした。
作ったのは架空園をイメージしたパイ、アラックとダマスクローズと棗のカクテル、干し棗のナッツクリームチーズサンド、棗と薔薇のジュレ。
空中庭園(正確には塔の上にある庭園ですが)をイメージしてパイをグラスの上にのせています。上のお花は食用のものですが主に香り要員なので食べる時は外します。
カクテルはアラックをベースに使用。ダマスクローズのシロップを加え、レモン果汁で味を整え、ミネラルウォーターで割り、スライスした生の棗の実を入れて仕上げます。
アラックは何も入れていない時は無色透明なのですが、シロップや水などを入れると白濁します。調べてみたら、文学ファンに有名なアブサンもアラックの仲間なのですね。通りで特徴が似ている。個性的な味と香りなので好みが別れそうなお酒です。
ダマスクローズは古代種の薔薇で、クレオパトラが愛した花とも言われています。
アラックもダマスクローズも香りが強いので入れ過ぎには注意です。
生の棗は林檎に似た味と食感でした。常温で追熟させると赤くなるそうです。
メソポタミアには広大な棗椰子の森があったそうなので、それにちなんで棗の実を使った酒肴を添えてみました。
ところで、棗の実について少々。
種なしと種ありが売られているのでもしや種を取るのが難しいのかと覚悟していたのですが、あっさり実離れして拍子抜けしました。焼き菓子に使うなら始めから種がない方が楽ですね。
日本人に馴染みのあるもので例えると、砂糖を使わない干し棗はちょうど干し柿のようです。食感も似ています。