『ごん、お前だったのか。いつも栗をくれたのは。』


新美南吉『ごんぎつね』より


小さい頃に読んだ時は、最後が最後なので兵十が仇の如くごんを恨んでいる印象でしたが、読み返すとそこまででもないなと感じました。母親が亡くなったのはごんが直接の原因ではないですしね。
とはいえ、やはり母親に精のつくものを食べさせてあげられなかった無念は深そうですし、日頃の積み重ねもあってこうなってしまったのかなぁ……と、そんなことを思う秋の夜長でありました。
ごんの行動は贖罪もありますが、ひとりぼっちになった兵十への同情がより強そうに感じました。孤独がこのお話の底を浸している気がするのです。
草稿ではごんは最後『うれしくなりました』とあるのですよね。栗を運んでたのが自分だと気付いてもらえて嬉しかったのかな。
最終的にこの部分が無くなっているのは、最後は兵十視点だからというのと、余韻のためでしょうか。
読み取れない表情と青い煙が醸す余韻。



[2022.10.18]追記
作り直してみました。
ごんが栗をまいにちまいにち兵十に届けていたのをイメージして、栗料理(と、松茸)の盛り合わせです。
栗の煮物、栗豆腐、焼き松茸、焼き栗、栗ダレ。

毎回苦戦する栗の皮剥きですが、巷で噂の「一晩冷凍した栗を熱湯に5分浸す方法」を試したところ、今までと比べて驚くほど簡単に剥けました。思い付いた方は神ですね。ありがたや。