『吾輩は猫である。名前はまだない。』


夏目漱石『吾輩は猫である』より


猫の視線から社会を諷刺する一冊。
というと小難しいようですが、案外するっと読めました。猫から見たら人間はさぞ滑稽な生き物でしょうね。

飼い主たる苦沙弥先生等が話す学術的な話を理解し眺めているお話もあれば、狩りの様子をリアルに描いたお話もあり、時には銭湯に行ったりもする。それぞれの場面で人間の行動をありのままに映し、首を傾げる。
ですが、撫でられることを『撫でてくれる』と表現していたり、斜に構えているようで案外可愛いところもあるのです。


最後は達観していて哀しい、切ないというよりは、虚しい気持ちになりました。心にうろが出来たようにぽっかりしていました。
同情等では無く、言葉選びからそれで良かったと思い込もうとしているのを感じてしまって、やるせなさというか、無力感と虚無感。
それから少し時間を置いて、この後苦沙弥先生はどうしたのだろうと思いました。






感想はこの辺りで置いておきまして。

今回作ったのは、猫型こんにゃくで田楽、白と黒のまるい寒天寄せ、それに生牡蠣を。
黒いソース状のものは胡麻入りの田楽味噌です。
主人公の猫は『黄を含める淡灰色に漆の如き斑入り』なのだそうで、色味的に一番近いのはこんにゃくかなぁと。斑はどうやら虎斑らしいので、田楽味噌を虎斑風にお皿に描いてみました。

牡蠣はそのまま、『牡蠣的主人』こと苦沙弥先生を差しています。
寒月君の球磨き、垣根越えベースボールの攻防、それから迷亭君と独仙君が碁を打っていたところなど、まるいものが出て来る印象が強かったので、寒天を丸く寄せてみました。