中野重治『梨の花』より
好みが分かれるかもしれませんが、私は結構好きです。何が起きる訳でもなく、幼い頃の記憶を紐解くお話。
この作品は中野先生が子供の頃に見聞きし、感じ取った、ありのままを描いたものなのだそうです。山やオチは無く、言葉通りの「ありのまま」です。
子供の頃に感じた理不尽や社会への疑問もあれば、いたずらしてみたり遊んでみたりと他愛もない描写もある。
読者はそんな日々の記憶を辿って行きます。
中野先生ご自身は、子供の視点にしたことによって社会の描写に公正さを欠くと思われていたそうですね。個人的には、小説は主観ありきなので「子供から見た当時の社会」として公正だと思うのですが、それは詭弁でしょうか。中野先生は記録としての側面も重視されていたのでしょうかね。うーん。
文章表現では、11章に記憶を手繰る描写があるのですが、それがとても好きです。手繰る様はもどかしく、大事にしているのが文の隅々から伝わります。
ひっそり作り直しました。
身がき鰊の昆布巻き、「にかご」の塩茹で、梨と大根葉の和え物。
身がき鰊は丁寧に小骨を抜き、緑茶で霜落としして臭みを取ってあります。なかなかの自信作なのです。
いつもはかんぴょうで結ぶのですが、今回は竹の皮を細く裂いたので結んでみました。
「にかご」の塩茹ではえぐみが薄れるまで茹でてあります。まぶす塩は控えめにし、抹茶塩と粉末にした枯れ節を少量のお湯で練ったタレにつけて食べて戴きます。
梨と大根葉の和え物は、角切りの梨、お湯で戻した乾燥の大根葉、かいわれ大根、白ゴマを、出汁酢とごま油ひとたらしで和えたもの。これもなかなかの自信作です。