子供たちの闘病




10月1日、息子(小6)のバスケットボール大会の観戦のため、家から車で4時間ほどの帯広市へ、1泊2日の小旅行へ出かけた。

体調を壊すこともなく、観戦を楽しめた。

が、この頃から脱毛がひどくなってきた。

観戦は楽しめたものの、気持ちの半分は手で梳く度に抜ける髪の毛が気になってしょうがない。

帽子が外せなくなっていた。

私の場合、抗がん剤で1番辛い副作用が髪の毛が抜けることだった。

大会の合間、時間があったので夫と帯広神社へお参りに行った。

早く髪の毛が生えますよーに!と、絵馬に書いて奉納した。


その後会場に戻って、最後の試合を観戦した。

チームは頑張っていたが、接戦の末、負けてしまった。

息子の所へ行くと、体育座りで泣いていた。

負けると泣くこともよくある息子だが、今日はいつもよりもずっと、大泣きしていた。

「悔しかったの?」

と聞くと、

勝ちをお母さんにプレゼントしたかった。

そしたら治療頑張れるかと思って。」

と言ってまた、膝に顔を埋めた。

私も、泣いた。

周りは何も知らないので、どうしたんだろうこの親子、と思っていたに違いない。


息子よ、母は「勝利」よりももっと嬉しい「やさしい心」をもらったよ。

「あー、ンガね。」なんて言っていた息子はどこへやら。



家に帰るとますます髪の毛が抜けた。

家ではまだ帽子を被らず過ごしていたが、ある日の朝、私の後ろ姿を見た娘(中2)の何の気ない言葉に深く傷ついてしまった。

一日中涙が止まらず、その日から家族の前でも帽子が外せなくなった。

娘は思ったことをすぐ口にする性格で、決して悪気はないのだが、人を傷つける時がある。

それを実感してしまい、人への配慮ができない子に育ててしまった情けなさと、泣いている姿を見せたことで逆に傷つけてしまった娘へのごめんねと、それまで我慢していたいろんな悲しい気持ちが全部合わさって一日中泣いてしまった。

娘もそれを見て泣いた。

その後学校へ行っても泣いていたらしい。



家族だけど傷つくこともあるし、家族だから傷つくこともある。

悲しかったけどでも、それから娘の心は少し成長したように思う。