不運を呼び込む女探偵

【錆びた滑車】/若竹七海
<あらすじ>
葉村晶は、吉祥寺のミステリー専門書店のアルバイト店員をしながら、本屋の二階を事務所にしている〈白熊探偵社〉の調査員として働いている。


付き合いのある〈東都総合リサーチ〉の桜井からの下請け仕事で、石和梅子という老女を尾行したところ、梅子と木造の古いアパート〈ブルーレイク・フラット〉の住人・青沼ミツエの喧嘩に巻き込まれ、怪我を負ってしまう。
住み慣れた調布市のシェアハウスを建て替えのため引っ越さなくてはならなくなった葉村は、青沼ミツエの申し出で〈ブルーレイク・フラット〉に移り住むことになるが、そこでは思いもかけぬサバイバル生活が待っていた。

ミツエの孫・ヒロトと父の光貴は八ヶ月前に交通事故に会い、光貴は死に、生き残ったヒロトも重傷を負った。事故の前後の記憶をなくしたヒロトは、なぜ自分がその場所に父といたのか調べてほしいと晶に頼む。
その数日後、〈ブルーレイク・フラット〉は火事になり、ミツエとヒロトは死んでしまう……。

 


クローバー感想
貧乏神に付き纏われたような悪運を拾う女探偵“葉村”もアラフォー世代で、今回も期待を裏切らない。
若竹さんの書くミステリーは、登場する犯人の悪行の中にも人の切なさが垣間見えて、心にジーンときます。
また相変わらずの濃いキャラを持つレギュラー達も健在で、今回も楽しく読ませていただきました。
とうとう出ることになった”スタインベック荘”、こんなところに私も住んでみたいなんて思っていましたから、無くなってしまうのは寂しいです。

「悪いうさぎ」で、ミチルからプレゼントされた“うさぎの常夜灯”が焼失してしまったのがとても残念。