アニメ「攻殻機動隊 Stand Alone Complex」第3話より。


課長の荒巻大輔イシカワの会話です。


旧式のアンドロイドが次々と暴走を引き起こす事件について、イシカワはアンドロイドに感染したウィルスや製造状況などを調べ、荒巻に報告するシーンです。



荒巻           :今の情報 他の連中にも流してやれ

                      短時間にしてはよくやった

イシカワ    :ふぅ、いやあ・・・
オペレータ:どうしました?
イシカワ    :褒められちゃったよ





イシカワにとっては褒められたことが意外だったのでしょう。


公安9課のメンバーはプロ意識が高く、自分の役割を果たすことは当たり前であり、出来て当然くらいに思っています。


まさか褒められるとは思っていなかったため、照れよりも戸惑いが表れています。



トップが褒めない理由


私は会社員なので、ビジネスに当てはめて考えることが多いのですが、やはり同じことが言えると思います。


経営者=会社のトップは基本的に褒めないものだと思っています。


特にマネジメント層に対しては、褒めることはありません。


マネジメント層の役職についている人は、組織運営を任せられる能力があると評価されているわけであり、絶対に達成不可能な無理難題や嫌がらせでない限り、出来て当たり前なのです。



では、なぜ褒めないかと言うと、褒めることは満足を意味するからです。


例え、目標以上の結果を達成したとしても、満足してしまったら自分や会社の成長がそこで止まってしまいます。


褒められた部下も同じです。


褒められることで、それでいいんだ、そのやり方でいいんだ、と無意識に思い込んでしまうかもしれません。


褒められたことが成功体験となり、その成功体験が邪魔となって成長の妨げになってしまう恐れがあるのです。


ただし、厳しい事ばかり言っていては部下も面白くありません。


頑張っている人には労いの言葉をかけたり、期待を言葉にすることは必要です。



なぜ褒めた?


荒巻は自分にも厳しく、他人を褒めたり忖度する印象はありません。


では、なぜこの時、イシカワを褒めたのでしょうか。


荒巻はいろいろと予想しながら、行動していると思われます。


イシカワの調査スキルとそのスピードが、荒巻の予想を上回っていたため、意図せず口に出してしまったのではないでしょうか。


逆に言えば、イシカワの実力を見くびっていたとも言えます。


実際は、荒巻から言われる前に、すでにイシカワに指示を出していた少佐(草薙)の指揮官としての能力の高さが目立つシーンです。


とはいえ、この一件で、イシカワに対する荒巻の評価は修正された可能性が高いと考えます。


もしくは、有能すぎる上司(少佐)の下で、常にレベルの高い仕事を求められる部下の大変さを察しての、労いの言葉だったのかもしれません。