アニメ映画「イノセンス」は、押井守監督の

攻殻機動隊 GHOST IN THE SHELL」の

続編です。



前作で、少佐が姿を消してから数年後、ガイ

ノイドと呼ばれる愛玩用アンドロイドが暴走

し、人を殺した事件の真相を9課が探る、と

いうのが大まかなあらすじです。



冒頭で暴走したガイノイドを破壊したバトー

トグサ荒牧に呼び出され、課員による事

件の概要と現状報告を聞いているシーンです。


うわの空になっているバトーに荒牧が問いか

けます。



荒牧    :(今の報告を)聞いていたんだろうな


バトー:新型のガイノイドが原因不明の

            暴走を起こして所有者を襲い

            メーカーが大慌てで回収した


            後はお定まりの遺族の告訴

            製造責任をめぐる長い民事裁判

            莫大な賠償金…


            なぜ9課が動くのかを除いて

            理解したつもりですが


荒牧    :理解だと?

             理解なんてものは

             おおむね願望に基づくものだ





ここでいう「理解」とは主観的であり、決め

つけや思い込み、自分にとって都合の良い解

釈をしているだけかもしれません。


数式や物理法則などのロジックや構造に対す

る理解とは異なります。


他人との関係性における「理解」とは、想像

力に近いと考えます。


特に、仕事の場合はコミュニケーションを図

り、答え合わせをした方がいいでしょう。


長年連れ添った夫婦や旧知の親友のように、

“1を聴いて10を知る”、そんな都合の良い相

手などいません。


さらに、一般的に他人との意思疎通において、

伝えたいことの3割しか伝わらないと言われ

ています。


だからこそ、コミュニケーションが重要だと

言われる所以です。


積極的に関係者とコミュニケーションをとり、

齟齬や誤解がないか確認すべきです。


相互理解の乖離が少ないほど、同じベクトル

に向かって、一致団結することが出来ます。


仕事としての成果や品質、強いては自分自身

の信頼や価値の向上に繋がっていくのです。




9課の責任者である荒牧は、バトーがそれな

りのベテランで、少佐に次ぐ情報戦のプロと

して、9課を牽引して欲しいと思っているは

ずです。


ところが、当の本人は課員の報告内容を聞い

ておらず、的はずれな返答に苛立ちを感じて

いることが分かります。


しかし、バトーにとってはどうでもいいのです。


9課や仕事そのものにモチベーションを失って

いるからです。


それほどバトーにとって、少佐の存在は大き

いのです。


恋愛感情があるかどうかは分かりませんが、

情報戦、戦闘のプロとしてリスペクトしてお

り、彼女とともに仕事をすることが刺激的で、

時折、無茶をする少佐のサポート役として、

頼りにされることにモチベーションを感じて

いたのではないでしょうか。


それでも9課に残っているのは、前作で少佐

を見送ったのは自分で、合言葉も含めて二人

だけの秘密となっていること、そして、いつ

か戻ってくるという僅かな希望を持っている

からかもしれません。


クライマックスでは、バトーが称する守護

天使として、少佐との邂逅を果たします。


劇場版シリーズとして続編があるとしたら、

どのような展開になるのでしょうか。



ガイノイドを依代にバトーと息のあった戦闘を繰り広げます。


押井監督、Production I.G.さん、ぜひ続編

製作お願いします!