胸オペが終わった後に留学した。
留学先では完全に女生徒として扱われることが分かっていた。
法律上、名簿の名前も性別も変えられないと言われたから。
ルームメートに申し訳ないのでシングルルームにしてもらい、
色々バレかけたりもあったけどなんとか切り抜けた。
留学中にホルモン注射を打てず生理が再開してしまい、
見えない臓器にまで嫌悪感を抱くようになってSRSを決意した。
再度両親に報告すると、前回と同じ展開に。
母は明るい振りをして隠れて泣いていたし、
父は驚くほど堂々と受け入れてくれた。
母が泣いている原因を妹に訊いてもらうと、
僕が変わってしまうことではなく、自分を咎めた涙だった。
男の子に産んであげられていたら、
子供にこんな痛い思いをさせずに済んだのに。
何故今まで苦しみに気付いてあげられなかったのだろう、と。
そんなことで泣いていたのかと、悲しくなった。
気付かれないように隠していたのは僕自身だし、
僕がFtMであることは、母さんのせいではないから。
そして父さんの
「普通に生きるより辛いことが沢山あると思うけど、
自分で選んだのであれば覚悟するんやで。」
という言葉に、身が引き締まった。
そして留学が終わると同時にタイに行って、
SRSを受けて、帰国をしてすぐに戸籍変更をした。