小学校に上がると男女の差が少しずつハッキリしてきて、
どうして僕は男側にいないのかという疑問が生まれた。
そして一度だけ、友達と遊んでいたときに
「本当は男の子に生まれたかったんだ」と口が滑ったことがあって、
そしたら近くにいた高学年の子たちが聞いていたみたいで、
次の日からすごくからかわれる様になった。
上履きを隠されたり、
すれ違う時にクスクス笑われたり、
今思い返せば本当にしょうもないことだったけど、
8歳の僕を傷付けるには十分だった。
本当は、作文の一人称で男子が「僕」を使う中、
自分だけが「私」を強要されたことが嫌だった。
長髪が可愛いからと、
中々髪を切らせてくれないのが悲しかった。
男の子だと認識されるたび、
それを母が否定することが辛かった。
好きな男の子をみんなに聞かれて、
1ミリも好きじゃない奴の名前を答える自分に腹が立った。
でも僕は何故かいつだって笑って誤魔化して、
自分に「僕は女の子なんだ」って言い聞かせて、
悲しい気持ちに蓋をして、自分でも気付かない様にしてた。
もし親に知られたら悲しませる。
僕はこの気持ちを一生外に漏らしてはいけない。
ちゃんと女の子でいなきゃいけない、そう思った。