
《ブリュッヘン/ヘンデル、木管のためのソナタ全集》
ヘンデル:ブロックフレーテと通奏低音のためのソナタ 作品1の2、4、7,11、他
フルート・トラベルソと通奏低音のためのソナタ 作品1の1b、5、他
オーボエと通奏低音のためのソナタ 作品1の8、他
フランス・ブリュッヘン/ブロックフレーテ、フルート・トラベルソ
ブルース・ヘインズ/バロック・オーボエ
ボブ・ヴァン・アスベレン/チェンバロ、オルガン
アンナー・ビルスマ/バロック・チェロ
ハンス・ユルク・ランゲ/バロック・ファゴット
一昨日の追悼レコーに続いて、今日もブリュッヘンの演奏が中心となっているヘンデル/木管ソナタ全集を聴きくことにした。3枚組のこのレコード、解説書によると73年11月に録音、ヘンデルが木管楽器のために作曲したとされるソナタ全12曲が収録されている。購入したのは74年頃だが、ヘンデル云々より、前のレコードで知ったブロックフレーテのノスタルジックで素朴な音色に魅せられたからである。
ブリュッヘンを追悼する意味で、今回一挙に聴いてみた。3枚通しで聴くには少々根気が必要だが、盤一枚一枚の曲の配置に工夫が凝らされ、聴き易さを優先した編集になっている。収録されている曲は、ブロックフレーテのためのソナタが6曲、フルート・トラベルソのためのソナタが4曲、他にオーボエのためのソナタ2曲、の計12曲だが、異なる楽器の演奏が交互に配置され、作品No順とはなっていない。又ブリュッヘンの演奏は、ブロックフレーテ(6曲)、フルート・トラベルソ(4曲)である。
フルート・トラベルソはフルートの原形と言われる木製の楽器で、フラウト・トラベルソとも呼ばれている。どちらが通称なのかはわからないが、ここでは“フルート”となっているのでこれに従う事にする。音色は現代のフルートとは少々違いふくらみがあって柔らかい。実は私は、この楽器をこのレコードで初めて聴いたのだが、ブロックフレーテとは殆ど同じ音色で聴感上の差はない無いように思えた。ブロックフレーテ・ソナタの後にフルート・トラベルソのソナタが続くが、私には聴き分けられなかった。勿論楽器の持つ音域の差、表現力の差はあるが、同じ木管を縦に吹くか、横に吹くかの違いなのかも知れない。逆にその同一性が面白いと思う。
何れの楽器であれ、ブリュッヘンの演奏に耳を傾けていると、ついノスタルジックな想いに浸ってしまう、子供の頃手軽に遊んだ横笛や、縦笛の音色に重なるからなのだろうか。ヘンデルでもそうだが、ブロックフレーテ、フルート・トラベルソの音楽は高貴な音楽と言うより、やや泥臭いが、親しみのある音楽に私には思える。とは言えこのレコード、ヘンデル初期の作品、作品1の12曲全て(?)が入ったもの、今となっては、ブリュッヘンの貴重な遺産である。