先週の火曜のこと、

いつものようにヨガに行った。

ヨガスタジオはビルの六階にある。

受付は五階。

あたしは必ず五階に立ち寄る。

ウェアをレンタルするために、だ。


この日は三階からエレベータに乗り込んだ。

既に若い女性が一人乗っていて、

五階のボタンが押してあった。


きっと目的地は同じだろうな、

と思った。


五階に着いたら、

その女性が『開く』のボタンを押して、

私を先に下ろしてくれた。


ん魔!

お優しい!!

あたしはお辞儀をして先に出て、

受付でウェアをレンタルした。

彼女はあたしの後に並んで

何らかの用をたしていた。


ウェアをレンタルしたあたしは、

再びエレベーターを呼んだ。

エレベーターを待っている間に

用事が済んだ彼女もやってきて

またもあたしの後ろに並んだ。


エレベーターが到着して、

あたしが先に乗り込み、

六階のボタンを押した。


六階に着いて、

あたしは『開く』のボタンを押したまま

どや顔で、

更には得意気に

「どうぞ。」

と彼女を先に出した。

彼女は会釈をして先に出た。


続いて自分が降りようとしたら、

ドアが閉まりつつあったので、

慌てて『開く』のボタンを連打した。


ガコガコんと鈍い音がして、

あたしは挟まった。

左側の骨盤から見事に挟まった。

痛かった。

恥ずかしかった。

痛恥ずかしかった。


慌てて体をエレベーターの中に戻したら、

ドアはキチンと閉まって

下に移動し始めた。

誰かがあたしを呼んでいる!?

いいえ、誰かがエレベータを呼んでいるのよ!


よくある話っ!

あたしが必死に押してたボタンは

『開く』ではなくて

『閉じる』だったという

何の面白みもないオチだった。


このまま一階に下りて帰ろうかと思った。

けれど、気を取り直して戻ることにした。

この日のヨガのクラスは

お気に入りのインストラクターさんで、

行きたい気持ちの方がデッカチャンだったから。


再度六階と言う最高峰に達したあたしは、

シレっとロッカールームに入る。

当然ながら先ほどの彼女がいた。

時間が早かったので二人きり。

ちょっと気まずい。

エレベータで突如消えた女、

カムバックの瞬間であった★


ヨガのレッスン10分前になって

開放されたスタジオに入ると、

あたしの隣の隣に彼女が陣取った。

鏡越しにちょっと気まずい。

あたしは平静を装ってストレッチ。

まずは『合せきのポーズ(あぐらのようなもの)』で

股関節を伸ばすことから始めるのが自己流!


合せきのポーズをとろうとしたら、

イテーーーー!!!

右足はいつものように

くるぶしも膝もペタっと床につくのに、

左が全然つかない!

ってか、かなり立っちゃってる!

体が硬い人よりも余裕で立っちゃってる!


なぜ?


焦った。。。

三十路人生の中でこんなことは初めて!

原因が何だか分からない。

エレベータに挟まったか…ら…?

いや、そんなわきゃないわよ!

頭の中でぐるぐる考えて、

とりあえずレッスンが始まるまでに

どーにかして左側を修復したいと試みる。


長年バレエを習っていた経験を生かし、

筋を伸ばすストレッチを重点的にやった!

どれもダメ!

全然ダメ!

痛くてポーズが取れない。

どうしよう。

帰ろうかと思った。(パート2)


で、色々と悩んだ結果、

レッスンの最初にインストラクターさんが

「今日は怪我などで体調が悪い方いませんか?」って

絶対聞いてくれるから

その時に手を上げて

「左の足の筋がなんだか痛いんです。」って

言おうって決めたの。

心は完全に決まっていた。


オンタイム、

インストラクターさんが入ってきた。

「今日は人数が少なめですから、

 このチャンスにスペースを有効活用して

 まず骨盤を開くポーズから始めましょう!」


!!!!!

まさかの怪我チェック無し。。。


そんな訳で恐怖のヨガが始まった。


このインストラクターさんの何が素敵って、

右も左も分からないあたしを

優しく指導して下さるのだ。


明るいスタジオで鏡越しに

お手本を見ながらポーズをとる分には

問題ない。

むしろあたし結構出来る子だと思う。

体の柔軟性だけで

出来ている風を装ってるけど、

それなりに見えているはず。

誉められたりする!(威張り)


ただね、

これが寝ながらポーズになったとたん

ダメになる。

お手本見ないとポーズが取れない。

「右手で左の膝を掴んで、

 それを右に倒して…」

って声だけの説明になると

てんで分からなくなる。


あたしの右手はホクロがある方!

それが確認できないとなると大惨事!

昔っから親が心配してた。

ホクロを頼りに覚えるのは良くないって、

何度も何度も注意を受けた。

その言葉を今になって真摯に受け止めてる次第。


そ~ゆ~わけで、

本気で右も左も分からないあたしを

注意して見てくれるのが

このインストラクターさん。

はっきり言っちゃうと、

ちょっとした問題児扱い?

混んでる時なんか、

隣の人と逆の方向に転がって

衝突事故になったりするかんね!

注意して見(張っ)ててくれる。


そんな問題児のあたしの唯一の取柄が

さっきも言ったけど

体が柔わらかいこと。

これを除いてしまうと、

右左が分からない問題児。

シャバーサナで寝る問題児。


そんなあたしの柔軟性がとうとう奪われた。

ただの問題時に成り上がった。

もう帰ろうかと思った。(パート3)


更にこんな日に限って

気合い入れて一番前を陣取っちゃったもんで、

みんなにまるっとお目見えしてる。

筋も心も痛む。


更に悲劇はやってきた。

開始20分位で

トイレに行きたくってうずうず。

もちろんレッスンの前にトイレは済ませてある。

水分補給小まめにし過ぎたせい?

いい大人よ、我慢せよ!

そう言い聞かして我慢してたけど、

とうとう限界がやってきて

トイレに行くことにした。

みんなにまるっとお目見えしながら。


トイレのあと、

そのまま帰ろうかと思った。(パート4)


トイレから戻ると、

みんなが英雄のポーズをとっていた。

あたしも慌てて同じポーズをとった。


その瞬間、

バキっ!といい音がした。

何かが上手く入った気がした。

もしかすると元のあたしに戻ったかと期待した。

その期待は裏切られた。

より硬くなってた。

なんだこれ?


レッスンの最後はお決まりの

シャバーサナ(シカバネのポーズ)。

インストラクターさんが、

柑橘系のアロマオイルを散らしてくれて

これは眠ってしまうな、と思った。

眠ったら最後、

完全に問題児に成り上がると思い、

目を見開いて過ごした。


そうして今日、

もう一度ヨガの門を叩くべく、

恐る恐る家でストレッチしてみると、



やっぱりダメだった。


次に叩くべき門は、

整骨院…?