ジンギスカンを食べようと妻と遠野食肉センターに行く。テーブルごとにタブレットが立てかけてある。男性スタッフが水と簡易お絞りを持って来て言う。
「タブレットで注文できます。もちろんメニューを見て口頭でも注文できます。口頭で注文する時はこのボタンを押して下さい」
液晶メニューを見ながらタブレットで注文することにした。テーブル番号はタブレットに設定済みだろう。来店の男女別人数を入力した。男1名、女1名、計2名。選んだのは定食生ラム5種盛Aというメニュー。「注文」ボタンをタップする。
7、8分ぐらいでさっきの男性スタッフが料理を持ってきた。付箋のようなものに部位名が書かれた肉プレート、ライス、味噌汁、香の物など。「以上になります」のようなことを言ったのだと思うが、よく聞いてなかった。スタッフはすぐにテーブルから離れた。
もう1人分がすぐに運ばれて来るのだと思って待っていたが、来ない。どうしたんだろう。近くを通りかかったさっきの男性スタッフに声をかけた。
「すみません、2人分注文したはずですが」と言うと、「注文を受けたのは1人分です」と言い、タブレットの注文履歴を見せようとする。
そうか、入店者(テーブルに着席している客)の人数は入力したが、注文するメニューの数は入力しなかったようだ。てっきり入店者数2を入力した段階でメニュー2人分を注文したものだと勘違いした。
すぐにミスに気が付き、同じものをもう1人分注文した。肉と野菜を焼きながらもう一人前を待つ。肉は焼けたが、1人で食べるのも気まずいので、もう少し待つことにした。
しかし、あの男性スタッフ、2人で来ているのは知っているはずだ。1人分だけの注文をおかしいと思わなかったのだろうか。
タブレットでも入店者2名は確認されているはずだ。男女2人連れが1人分だけ注文して、2人で仲睦まじく半分ずつ食べると思ったのだろうか。そもそも2人入店して1人分だけの注文が許される店なのか。
確認してくれればいいだけではないか。テーブル席に来て「注文の品はお1人分だけですか」と。土曜日だが時間は1時近く、店内は混んではいなかった。
帰りに会計しながら、このことを言ってみた。若い男性だったが、こちらの言い分を分かってくれたようだった。
「後でスタッフ全員で共有いたします。申し訳ありませんでした」
少しだけ心が痛んだ。オレってクレーマー?