受験の世界には、
「早く始めたほうが有利」
という空気があります。
実際、首都圏模試センターの調査では、
中学受験をする家庭の 約70%が小4までに塾通いを開始 しています。
高校受験でも、都内の大手塾のデータでは 中1からの通塾率が年々上昇しています。
こうした“早期化の文化”は、 確かに一定の成果を生むこともあります。
ただし、同じデータはこうも示しています。
難関校合格者の中には、 中2・中3から本格的に始めた子も一定数存在する。
つまり、
早期化は「有利な場合もある」だけで、
絶対条件ではない
ということです。
■ 塾は“親の不安”を前提に設計されている
ここがとても大事な視点です。
塾は教育機関であると同時に、
ビジネスとして成り立っている組織
です。
そのため、
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早期化
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基準点方式
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クラス昇降
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選抜テスト
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季節講習の案内
こうした仕組みは、
親の不安を前提に設計されている
側面があります。
もちろん、塾が悪いわけではありません。
不安があるからこそ、塾は必要とされるのです。
ただ、構造として、
「今のままでは足りない」
「周りに置いていかれる」
という感情が生まれやすいのは事実です。
そしてその不安が、 親を“競争文化”へと引き寄せてしまうことがあります。
■ 競争を煽る文化にもメリットはある
講座ごとの基準点、 クラス昇降、 講座選抜テスト。
こうした仕組みは、
短期的には子どもの集中力を引き出し、
一定の成果を生むことがあります。
だからこそ、 この文化を完全に否定するつもりはありません。
■ ただし、データは「別の道」も示している
高校受験の合格者データを見ると、 難関校の合格者には次のような特徴が見られます。
● ① 中3から成績を大きく伸ばした層が一定数いる
都立トップ校・私立難関校ともに、
中3で偏差値を10以上伸ばして合格する層
が毎年存在します。
● ② 競争より「自己決定」が伸びにつながる
教育心理学の研究では、
自己決定感が高い子ほど学習の持続率が高い
というデータがあります。
● ③ 過剰な競争は逆効果になることも
文科省の調査でも、
過度な競争環境は学習意欲を下げるリスク
が指摘されています。
つまり、
競争が合う子もいれば、 競争の外側で伸びる子もいる。
ということです。
■ 息子は“競争文化の外側”で伸びたタイプだった
息子は春の時点では下位コースでした。
志望校別特訓を受けるかどうかも、本人の意思に任されていました。
特訓受講のためにテストを受けたのは、 息子が下位コースにいたからで、
上位コースの子はそもそも不要なものでした。
つまり、息子の塾の選抜は
「競争のための選別」ではなく、
「適正を確認するための選抜」
でした。
講座に入ることが目的ではなく、
“本人が必要だと思ったときに受ける”
という文化。
この文化の中で、 息子は必要なときに必要なだけ伸びていきました。
■ 文化を変えた子は、本来の力を発揮した
息子の塾には、 早期化・競争文化の塾を途中でやめてきた子もいました。
その子は、 講座に入るための競争に疲れ、
本来の目的を見失いかけていたそうです。
しかし、環境を変えたことで、
その子は 本来の力を発揮し、
最終的には 開成高校に合格した と聞きました。
これは、データ的にも説明できます。
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過剰な競争は学習意欲を下げる
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自己決定感が高いと伸びる
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中3から伸びる層は一定数いる
つまり、
過剰な競争がない環境でも、 難関校に合格する子は確実に存在する。
■ 絶対的な正解はない
早期化が合う子もいます。
競争が力になる子もいます。
一方で、 歩幅を尊重する文化のほうが伸びる子もいます。
どちらが正しい、間違っているではなく、
子どもに合う文化を選ぶことが大切
なのだと思います。
■ 受験は「どの文化に身を置くか」で変わる
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不安を燃料にする文化
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競争を刺激にする文化
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子どもの歩幅を尊重する文化
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必要最低限を積み上げる文化
どの文化が合うかは、子どもによって違います。
息子も、開成に合格した子も、
過剰な競争の外側で力を発揮した子たち
でした。
難関校に合格する道は一つではない。
競争の中で伸びる子もいれば、 競争の外側で本来の力を発揮する子もいる。
そのことを、 少しでも多くの親御さんに知ってもらえたらと思っています。