ソムリエ第18弾★エスカルゴの夜明け(宇野 亜喜良+蜂飼 耳)
現在、キリマンジャロを乗り越え、ホッとしてます(キリマンジャロ=ヤマ)。
先週は…遭難しかけました。
そんなこんなでちょっと世の中をはかなんでみたくなるソムリエを。
「エスカルゴの夜明け」宇野亜喜良+蜂飼 耳
★作者紹介★
宇野亜喜良
70年代ブレイクしたイラストレーター。寺山修司の本やポスターなども描いてました。
昔、カルピスの広告課にいたらしい。
空ろな目の美少女を描くヒト。でも、鉛筆デッサンも写真なみにウマイ。
蜂飼 耳
中原中也賞、芸術選奨新人賞受賞の気鋭詩人。週刊文春の映画評で、ご存知の方もいるのでは?
なぜか今月の「ブレーン」でも対談してます(テーマは「白」について)。
大学院では上代文学を専攻。だからか、モヤモヤした日本の湿気からわきたつ心象イメージが、鮮やかな詩人さんです。
★作品について★
気鋭の詩人と画家の合作になる小さな絵本。絵本+詩画集。
宇野亜喜良の不機嫌な少女たちが、「人間の営み」に出会います。
育てる、食べる、愛する…
人の営みの気持ち悪さを、言葉にしないで描いたら、
こういう心象風景になるんだろうか…。
絵本では、毎日たいせつに育てたカタツムリを、たべてしまう少女が出てきます。
つい、小学校の頃の、「蚕」の実験を思い出します。
毎日、葉っぱを食べさせて、一生懸命育てた蚕を
「絹糸をとる」ために殺したときの、妙なかんじ。
世の中、すべて「殺し」で成り立ってるんだ、という「あの」気づきが
詩と絵で鮮やかに描かれてます。
なにより、蜂飼さんの詩がいい。
雑誌「ブレーン」での蜂飼さんのコトバに、彼女の詩が集約されてます。
「ものをつくるというのは、ある意味、半透明を目指すことではないかと思いました。
例えば 海と効いた時に、ある人は日本海を思い浮かべ、ある人は沖縄の海を思い浮かべるように、
海という言葉一つでも受け手の体験が反映される。その人の言葉に対する体験を映しながら、
受け取るというより、その中を通過したり、その時空を体験できるような、現場のようなものを言葉で作り出したい。」
番外編
…週末に読んでハマったので…蜷川実花の映画の原作ですね。
安野モヨコ「さくらん」
★著者紹介(ウィキぺディアより)★
言わずとしれた「ハッピーマニア」「働きマン」の作者。
ダンナは「新世紀エヴァンゲリオン」の庵野監督(ダブルあんの)。クールでシニカルで現代的な作風が特徴。
★作品★
吉原の廓(くるわ)に連れてこられた少女・きよ葉が、美しく成長し吉原一のおいらんになっていく…というスジ。
いじめられ、男にはひどい目にあわされ…と、話としてはドロドロ。
「廓」の華やかさのウラにある性のエグみもしっかり描かれていて、
救いようのなさいっぱい。
でも、何があっても受け入れ耐える、主人公の意地が「粋(いき)」で、
妙に清々した気持ちになるマンガです。
「この世は苦界でございますよ。気に入ることなんかありゃしねえんだよ」
…と冒頭でつぶやくきよ葉ですが、
そんなクソな世の中でも、「生きていく」オンナの覚悟が、眩しい。
先週は…遭難しかけました。
そんなこんなでちょっと世の中をはかなんでみたくなるソムリエを。
「エスカルゴの夜明け」宇野亜喜良+蜂飼 耳
★作者紹介★
宇野亜喜良
70年代ブレイクしたイラストレーター。寺山修司の本やポスターなども描いてました。
昔、カルピスの広告課にいたらしい。
空ろな目の美少女を描くヒト。でも、鉛筆デッサンも写真なみにウマイ。
蜂飼 耳
中原中也賞、芸術選奨新人賞受賞の気鋭詩人。週刊文春の映画評で、ご存知の方もいるのでは?
なぜか今月の「ブレーン」でも対談してます(テーマは「白」について)。
大学院では上代文学を専攻。だからか、モヤモヤした日本の湿気からわきたつ心象イメージが、鮮やかな詩人さんです。
★作品について★
気鋭の詩人と画家の合作になる小さな絵本。絵本+詩画集。
宇野亜喜良の不機嫌な少女たちが、「人間の営み」に出会います。
育てる、食べる、愛する…
人の営みの気持ち悪さを、言葉にしないで描いたら、
こういう心象風景になるんだろうか…。
絵本では、毎日たいせつに育てたカタツムリを、たべてしまう少女が出てきます。
つい、小学校の頃の、「蚕」の実験を思い出します。
毎日、葉っぱを食べさせて、一生懸命育てた蚕を
「絹糸をとる」ために殺したときの、妙なかんじ。
世の中、すべて「殺し」で成り立ってるんだ、という「あの」気づきが
詩と絵で鮮やかに描かれてます。
なにより、蜂飼さんの詩がいい。
雑誌「ブレーン」での蜂飼さんのコトバに、彼女の詩が集約されてます。
「ものをつくるというのは、ある意味、半透明を目指すことではないかと思いました。
例えば 海と効いた時に、ある人は日本海を思い浮かべ、ある人は沖縄の海を思い浮かべるように、
海という言葉一つでも受け手の体験が反映される。その人の言葉に対する体験を映しながら、
受け取るというより、その中を通過したり、その時空を体験できるような、現場のようなものを言葉で作り出したい。」
番外編
…週末に読んでハマったので…蜷川実花の映画の原作ですね。
安野モヨコ「さくらん」
★著者紹介(ウィキぺディアより)★
言わずとしれた「ハッピーマニア」「働きマン」の作者。
ダンナは「新世紀エヴァンゲリオン」の庵野監督(ダブルあんの)。クールでシニカルで現代的な作風が特徴。
★作品★
吉原の廓(くるわ)に連れてこられた少女・きよ葉が、美しく成長し吉原一のおいらんになっていく…というスジ。
いじめられ、男にはひどい目にあわされ…と、話としてはドロドロ。
「廓」の華やかさのウラにある性のエグみもしっかり描かれていて、
救いようのなさいっぱい。
でも、何があっても受け入れ耐える、主人公の意地が「粋(いき)」で、
妙に清々した気持ちになるマンガです。
「この世は苦界でございますよ。気に入ることなんかありゃしねえんだよ」
…と冒頭でつぶやくきよ葉ですが、
そんなクソな世の中でも、「生きていく」オンナの覚悟が、眩しい。