ソムリエ第9弾★エレンディラ(G.ガルシア=マルケス) | ソムリエ☆メンバーズのブログ。

ソムリエ第9弾★エレンディラ(G.ガルシア=マルケス)

おはようございます。
参加初回で遅くなってスミマセン…。
午後は初の自社広告取材。
内心イヤ!イヤ!しながら、笑顔で逝ってまいります。

ざっと、シュールの導入をまず。
シュルレアリスムは、仏語でリアリズム(realisme)にSur(上)をくっつけた造語。
「上位の現実」といった意味合いで、固定観念や慣習を取り払ったところにある、
「強度の強い現実」(ウィキ)を指します。

運動としては20年代から戦後にかけて盛ん。
当時の精神分析人気を受け、無意識の世界に「上位の現実」を求めた文学・アートが主体でした。

でも、ここでは広義の「シュール」をテーマに逝ってみたいと思います。

今日紹介するのは、G.ガルシア=マルケスの短編集「エレンディラ」。

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マルケスはコロンビアのノーベル賞作家。「百年の孤独」が有名。

この人は、幻想をいかにも現実であるかのように描くことで有名。
歴史を語るかのような文章で、ありえない出来事を淡々と語る。

この短編集では、南米のうらぶれた寒村に、なにか異質なものがやってきます。


はげた鶏のようになった醜い天使。
世界で最も美しい水死人。
海から香ってくるバラの芳香。



単調な日常を、絶望を絶望とも感じずに過ごしてきた村人たちは、
この来訪によって様々な反応をみせます。

たとえば、美しい水死人に魅了された村人たちは、

彼がいつか生き返ったとき、喜んでくれるように、花を植え、家を改修し、

「幸福にいきる」努力をはじめます。

大半の短編では、来訪者が去った後、自我のない毎日に戻っていくわけですが。

この本の面白さは、マルケスが展開する奇妙キテレツな幻想イメージ。
でも、あとがきによると、南米では本当に「海岸を歩く女性が天に昇ったり」
「二メートルの巨大ミミズがいたり」するそう。
この本を読むと、そんな現実を生きている南米の人が羨ましくなるかも?

オススメ度 ★★★☆☆

通勤の行き帰りに、ちょっとトリップするには良い短編集。

日常の繰りかえしに疲れた方には、ちょっとしたスパイスになるかも。