若い頃、「この感じ、きっとずっと続くんだろうな」と思っていた。
肌のハリも、夜更かしできる体力も、財布の中身も、なんとなく“永遠の初期設定”だと信じていた節がある。
根拠はない。
でも、若さには謎の無敵感があった。
まるで、人生のフリーパスでも握ってる気分。
そして気づく。
結婚すると、自由な時間って意外と高価だったのね、と。
産休に入ったら、自由なお金も有限だったんだな、と。
あんなに「ずっとある」と思っていたものが、
なんなら「あって当たり前」と思っていたものが、
ひとつずつ、静かに、でも確実に自分の手元から旅立っていった。

心の自由は、あとからやってきた
振り返ってみると、
20代の自由は、選択肢が多すぎて不安だった。
30代の自由は、責任の中に埋もれて見失いがちだった。
40代の自由は、がんばりすぎて「自由どころじゃない」が本音だった。
そして、50代。
なんでもはできないけれど、「やりたいこと」はちゃんとわかる。
できないことが増えた分、選ぶことに迷いがなくなった。
無理に自分を良く見せようともしないし、
他人の人生のスピードと比べて落ち込むことも無くなった。
なにより、ちょっとやそっとのことでは動じなくなった。
いまだに、天気に一喜一憂はするけれど。笑
理想の人生って、こういうことかも
“理想の人生”って、なにか大きな夢を叶えることだと思ってた。
でも今は、違う気がしている。
お気に入りのパン屋さんに行けた日。
気の合う友人とカフェで笑った日。
子どもが「今日さ〜」なんて話しかけてくれる日。
そんな日常の小さな“うれしい”を積み重ねていくことこそ、
実は理想の人生なのかもしれないなって。
50になって、ようやくそう思えるようになった。

時間はかかる。でも、だから面白い
こうなりたい
こんな生活がしたい
人生って、思ってたよりも時間がかかる。
だけど、時間がかかるからこそ、味わい深くなるのかもしれない。
「50歳、意外と悪くない」
そう思えるようになった今、
わたしの人生は、ようやく“いいところ”に差しかかってきた気がする。
だから今日も、ちょっと笑いながら、自分の人生に「いいね」って押したい気分。
まだまだ、ここから。ちゃんと面白くなりそうだ。