新路線との競合と共存の道
しかし、その親会社であるJR東日本は、一見すると東京モノレールの役割に影響を与えかねない計画を進めている。
貨物線など既存の鉄道資産を一部活用し、新たな線路も加えて田町と羽田空港を結ぶ「羽田空港アクセス線(仮称)」東山手ルートの整備である。
総工費は約2800億円で、2023年6月に着工しており、2031年度の開業を目指している。
この路線が開業すれば、東京駅と羽田空港は18分で結ばれることになるうえ、宇都宮線、高崎線、常磐線方面からも羽田空港への直通が可能になる。
東京モノレールにとっては、京急空港線以上に競合性の高い路線になることは確実だ。
親会社と子会社の間で利用者の食い合いは起きないのか。
この点について乗りものニュースは4月4日、JR東日本の発表として次の内容を報じている。
東京モノレールについては、空港以外の沿線通勤需要に加え、浜松町駅周辺の再開発や羽田空港周辺での利用増も見込まれており、地域に根ざした交通機関として今後も重要な役割を担うとしている。
両者は互いに補い合いながら空港アクセス輸送を続ける方針だという。
国土交通省が1月28日に発表した羽田空港の2025年の旅客数(速報値)は、前年比6.7%増の約9143万人となり、初めて9000万人を超えた。
現状では発着枠がおよそ49万回の上限に達しており、運航を増やしたくても増やせない状況にある。
ただし5本目となるE滑走路の計画も進んでおり、将来的には旅客数がさらに増えるとの見方も出ている。
眺望と体験で描く独自の価値
前述の東京モノレールが近年導入したブランド戦略や路線愛称は、「羽田空港アクセス線(仮称)」との差を先に打ち出そうとする動きと見ることができる。
モノレールは構造上、公道や川の上に柱を立て、その上に軌道を通す区間が多い。
一般的な鉄道では、地上に敷く場合は土地の取得に立ち退きが必要となり費用がかさみ、地下に通す場合も建設費が大きくなる。
モノレールはこうした事情を踏まえ、建設費を抑える目的で採用されてきた面が強い。
その結果として、一般の鉄道にはない高い位置からの眺めが広がることになった。
路線愛称の「東京パノラマライン」は、この特徴を表したものだ。
一方で「羽田空港アクセス線(仮称)」は新設区間の多くが地下となるため、車窓の広がりは限られる。
また、ブランドコンセプト「Tokyo Monorail Theater」は、駅空間を舞台のように見せる考え方である。
これに「東京パノラマライン」の眺望を合わせれば、乗車体験全体として一種の観光的な鉄道に近い性格を持つことになる。
そもそも、日本で最初のモノレールは、1957(昭和32)年に開業した上野動物園モノレールである(2023年12月廃止)。
これは遊園施設のような側面を持ちながらも、鉄道事業法に基づく交通機関として運行されていた。
東京モノレールは今後も空港アクセスの役割を担いながら、眺望や体験価値を含めた利用のされ方も併せ持つ存在であり続けるだろう。
(銀河鉄道世代(フリーライター))















