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女帝小池「余裕の3選」当選確実に絶望、地獄4年「おかわり」へ…危機感ゼロ!都民はどうして暗愚な首長を選んでしまったのか「知事として10点」「嘘つき」配信



日本の首都のトップを決める都知事選がついに幕を閉じた。結果をみれば女帝・小池百合子氏の三選だ。しかし本当にそれでよかったのか。これからまた4年間も続く小池都政にうんざりする人も多いだろう。なぜ都民は暗愚な首長にみたび及第点を与えてしまったのだろうか。作家の古谷経衡氏が解説するーー。


▪️小池都政に点数をつけるとすると10点。しかし10点でも都民は小池を選んだ


小池百合子氏が三選された。四年前ほどの勢いはなかったにせよ、都民が小池をみたび都知事に選んだのは事実である。蓮舫氏も石丸氏も健闘したことには違いないが、首長選挙では現職が有利だ。四選以上となってくるとほぼ必ず多選批判が起きるが、小池はまだ三選目だった。やはり現職の壁は厚い。


カイロ大学卒業への疑惑は、今回もし烈だった。小池の側近がかなりの証言を暴露し、公選法違反で刑事告発もなされた。週刊文春の数次の砲撃でも、結果として小池帝国は揺るがなかったと言わざるを得ない。


「アウフヘーベン」「ワイズ・スペンディング」「サスティナブル」などなど…。小池がこれまではなった横文字の数々はどれも具体的でなく、かつ意味不明のものが多い。小池が二期八年で唱えた「7つのゼロ」は、すべて未達成である。コロナ禍での「三密回避」「夜の街や飲食店への自粛要請」はいずれも非科学的で、とりわけ飲食業界に大打撃を与えた。科学より精神論が優越される翼賛的自粛ムードが東京発で日本全体を覆い、消費活動は今なお完全に回復したとは言えない。加えて16億円超を投じた「都庁舎ライトアップ」は、世紀の無駄であり愚の骨頂だ。私が小池都政に点数をつけるとすると良くて10点、というところだ。しかし10点でもやはり都民は小池を選んだ。なぜか。


▪️都民に危機感がなく、暗愚な首長にみたび及第点を与える


東京が依然として、日本において一番豊かだからである。豊かだから都民に危機感がなく、暗愚な首長にみたび及第点を与えるのだ。極めてシンプルな理屈である。


例えば一人当たりの県民所得は、47都道府県のうち東京が最も高い。戦後半世紀以上、ずっと東京が県民所得で一位であり、内閣府の2020年度統計によると東京のそれは約530万円。最下位の沖縄は約220万円。その差は300万円を超える。試しに1ドル=160円としてドル換算で示そう。東京は約3万3,000ドルでイタリアとほぼ同じ(2023年)。沖縄は約1万4,000ドル(同)となり、キューバと大差ないことになる。 


▪️日本が抱える様々な問題は、東京に限っては「無関係」


人口減少に悩む地方をしり目に、東京だけは転入超過が続いている。今年6月の東京都最新推計によれば、都の総人口は約1,418万人。毎年3%~4%程度、人口が増え続けている。3%増としても1年で約40万人も増える。一方47都道府県のうち、40道府県近くが毎年人口減少に直面し、減少率最下位の秋田県は5%~6%、毎年人が減っている現実がある。秋田県の最新人口推計は今年6月時点で90万人をわずかに上回っており、7月の推計が出れば90万の大台を割り込むことは確実だ。雑駁に言えば東京ではたった2年強で、秋田県丸ごと一県分の人口が吸収されているのだ。


東京に住み、東京で働いていると、すべてが「東京基準」で判断される。判断されるというか、そういう価値観が染みついてくる。人口減少、少子高齢化、地方財政のひっ迫、地域経済の衰退、空き家問題、若者の雇用など、日本が抱える様々な問題は、東京に限っては「無関係」とまではいわないものの、「他人事」である。だから在京の報道番組の少なくない部分は、そのような問題を取り上げはするものの、深掘って真剣な討議というのはほとんどなされない。なぜなら当事者としての危機意識が、製作者側にも出演者側にも視聴者側にも共有されていないからだ。


▪️東京はあいも変わらず「キラキラした街」の前衛であり、「目指すべき街」


「東京基準」はあらゆるカルチャーにも根付いている。東京に住んでいるものが原稿を書き、漫画を描き、脚本を創る。すると舞台は当然東京になる。東京はあいも変わらず「キラキラした街」の前衛であり、「目指すべき街」であり続けている。


最近ではでフィルムコミッションが盛んで、映画やドラマのロケ地には東京以外の街が頻出するようになったが、脚本上登場人物は東京で生活していることになっている。


聖地巡礼、などという言葉がサブカル界隈で定着して久しい。例えば京都、西宮、茨城の大洗、埼玉の鷺宮など、地方での生活を舞台としたアニメが目立つようになった。が、それは最初からニッチな方向での企画としてスタートしたものであり、マス受けを狙った作品の主舞台やクライマックスでの決戦場はやはり東京だ。『君の名は』『すずめの戸締り』を観てみるとそのことが良くわかる。


▪️『日本列島改造論』をきちんと読まずに角栄礼賛するきらいも散見


田中角栄が『日本列島改造論』を著したことはあまりにも有名だが、最近ではこの本をきちんと読んでいないまま、角栄を礼賛するきらいも散見される。改造論は東京の住宅問題から始まる。昭和元禄の呼び声高く、西ドイツを抜き西側二位の経済大国になった高度成長末期の日本であっても、東京の住宅環境はすさまじく劣悪であった。角栄はこの問題をテコとして、住環境が良い日本海側を筆頭に、東京から地方部に人口を移動させることで国土の均衡開発と住宅環境の改善を訴えた。結果、高速道路が地方に延伸されたことによる「ストロー効果」が発生し、東京一極集中がますます盛んになったのは皮肉である。


 確かに東京の住居水準は統計的には47都道府県で最も狭い。が、それはワンルームマンションの集中立地によって狭く見えるだけだ。仮に住宅が手狭でも、東京の富裕層の多くは近隣県などにセカンドハウスや別荘を保有している。バブル期に社会問題となった東京の住宅不足と価格高騰は、今回の都知事選でも全然争点にならなかった。都内のマンション価格がバブル期水準を超えているのに、である。現在のタワーマンション熱は、実需(自分での居住)というよりは投資対象だからである。


よって東京に住んでいては住宅環境が悪いので、東京を離れようという動機は見当たらなくなって久しい。