15の街道からよむ日本史
















































































































最大震度7が観測された能登半島地震。発生から3日たった今も大きな地震が続き、被災者の健康面などが心配な状況だ。

「能登半島地震」日本海側特有の入り組んだ断層が連動か


地震発生のメカニズムなどについて研究している京都大学防災研究所の西村卓也教授は、去年から警鐘を鳴らしていた。なぜ今回の地震は大規模で広範囲に及んだのか?今後も大きな地震は起きるのか?など改めて聞いた。


今回の能登半島地震は、ある程度予測できたのか?


京都大学防災研究所 西村卓也教授:


一言で答えるのは難しいのですが、2020年頃からこの地域では地震活動がずっと継続していたために、最悪のシナリオとしてはマグニチュード7クラス、今回のような地震が起こる可能性は指摘していました。ただ、それがいつ起こるのか正確に予測することはできませんでした。


■日本海側特有「入り組んだ断層」が連動して大きな地震となった


今回の地震が大規模で広範囲に及んだ理由を見ていく。今回の地震を発生させた断層は、能登半島西端から佐渡島近くまで、長さ約150キロに及ぶ可能性があるという。西村教授によると、震源の深さがごく浅かったため、地震の揺れの威力が増したということだ。


京都大学防災研究所 西村卓也教授:


この地震はマグニチュード7.6と大変大きかったです。震源の深さが浅いということで、揺れがより大規模で広範囲に及んだ原因となりました。マグニチュードから地震のエネルギーが計算できまして、今回の地震のエネルギーは兵庫県南部地震(阪神淡路大震災)のだいたい3倍~8倍ぐらいと、非常に強烈なエネルギーを放出した地震だといえます。また地図で示されているように、能登半島周辺には断片的に活断層が存在していて、この断層が複数連動連鎖して、長さ150キロにもわたる長い断層が結果としてずれるということになります。断層が長いとそれだけ放出するエネルギーも大きくなるので、今回規模が大きくなりました。


西村教授によると、日本海側特有の「入り組んだ断層」のため、今後も地震に注意が必要だという。1日に発生した地震以降、3日時点で震度1以上の地震が500回を超えている。


京都大学防災研究所 西村卓也教授:


地図の赤い線が断層ですけれども、そこに示されたように断層がいっぱいあるんです。地下でもさらに複雑に絡み合っています。一つの断層が動いたことで、その周囲の断層がかなりいろんなところで動いているというのが、日本海の地震の特徴になります。今回起きたマグニチュード7.6レベルの地震が今後すぐに起こることは考えにくいですけれども、多少規模が小さくても能登半島の直下で起これば震度7の地震が起こりえるというふうに考えています。


いつごろまで大きな地震への警戒が必要なのだろうか?


京都大学防災研究所 西村卓也教授:


震度7になるような地震は、だいたい本震から1週間ぐらいの間が目安と言われていますので、まだ3~4日十分注意が必要だと思います。また今回の地震の周辺部、佐渡の方とか、あるいは石川県の金沢沖の方の断層でも、今回の地震でストレスがかかっていると思いますので、今後そういうところで長期的に地震に対する注意が必要だと思います。



■「流体」が能登半島地震のタイミングを決めた一因になったか


今回の地震が発生した原因として、西村教授は「流体」がキッカケになったのではないかと見ている。流体というのは地中に含まれる水などで、これが断層に染み込んで、滑りやすくなるということだ。2020年から発生していた群発地震の原因とも言われ、今回の地震も流体がキッカケで起きたと言えるのだろうか?


京都大学防災研究所 西村卓也教授:


もともと活断層に地震を起こすための歪み、エネルギーがたまっていないと地震にはなりません。そういう意味で、流体がなくてもそのうち地震が起こることは避けられないことだったんですが、なぜ今回2024年1月1日に起きたかと考えると、流体が2020年から上がってきたことによって、周囲の断層が動きやすくなったため、この1月1日に地震が起こったトリガーになったと言いますか、タイミングを決めた一つの大きな要因にはなっていると思います。


逆に言うと、流体の動きなどが観測できれば、地震予知に使えるのか?


京都大学防災研究所 西村卓也教授:


後から考えてみて、流体の動きを見ることによって地震を予測できたかもしれないとは思うんですけれども、全ての地震において流体が関わっているということはまだ証明されていませんし、実際、観測例もほとんどないです。ということで、地震予知に将来使えるにしても、まだまだ研究段階だと思います。


関西にも流体は存在するのか?


京都大学防災研究所 西村卓也教授:


関西のあたりでも流体が関係している地震が知られています。有名な例は明治時代に、1899年から1900年にかけて、有馬温泉付近で能登と同じような群発地震があったとことが知られています。それから2022年3月の京都府南部の地震、2021年3月の和歌山県北部の地震、こういったところでも周辺に流体があるということがいろんな調査から分かってきていますので、流体が関連している地震だと言うことができると思います。


■建物の倒壊が目立って多かった


今回の地震で特に目立っているのが、建物の倒壊が多いことだ。石川県内では4日午後2時時点で全壊・半壊が213棟で、輪島市と珠洲市は全容調査中だということだ。ちなみに珠洲市の耐震化率は2018年時点で51パーセントとなっていて、全国平均の87パーセントぐらいと比べて非常に低くなっている。また輪島塗の「五島屋」ビルが横倒しに倒れたのだが、1972年に建設された建物で、1階がビルトインガレージになっていたということだ。家屋の倒壊についてはどう見るか?


京都大学防災研究所 西村卓也教授:


まず地震の揺れが非常に強く、規模が大きく、震源が浅かったということで、木造家屋を特に揺らすような地震の揺れが出ましたので、この地域にある伝統的な古い家屋にダメージを大きく与えたと言えます。また倒壊したビルですが、1階の開口部が大きくて柱や壁が少なく、どうしても耐震性が落ちる構造になっていて、転倒してしまったのだと思います。


耐震化されていない建物は耐震化工事が必要だとされる。


関西テレビ 神崎報道デスク:


今回もやはり古い木造家屋に集中的に被害が出ています。1980年代前半に耐震化の基準が設けられまして、それより前の古い建物はやはり耐震性が劣るということで、本当は建て替えがいいのですが、まず耐震補強が必要になってくると思います。まず耐震診断を受けてもらった上で補強しないといけないのですが、費用は自治体から一部補助金が出たりする場合はあるのですが、結構持ち出しでやらないといけないこともあります。あと低金利のローンがあったりします。やっぱり人の命には変えられないので、何とかやってもらって、耐震化を進めてもらいたいです。阪神淡路大震災の後、全国的に耐震化が広がったんですが、今回大きな被害が出た地域はまだ耐震化が進んでなかったということで、このような被害に遭ったと思います。


■南海トラフとの関連は?


ここで視聴者から質問。


Q.今回の能登半島地震と南海トラフとの関連性は?


京都大学防災研究所 西村卓也教授:


この2つにはあまり関連性はないというふうに考えます。南海トラフと能登半島はかなり距離が離れています。南海トラフと関西の地震は関連があるということがいわれているんですけれども、能登半島ほど距離が離れますとあまり影響はないんじゃないかと思います。


 南海トラフ地震と流体との関わりですが、海のプレートの中には流体がいっぱい含まれていますので、南海トラフの方に上がっていって地震を引き起こすというようなメカニズムも提唱されています。



Q.津波の到達が早かったのはなぜ?震源が浅かったから?


京都大学防災研究所 西村卓也教授:


震源の浅さというのは到達時間にはあまり関係せず、地震で動いた断層の位置と海岸線の距離が近かったのが、今回津波が早かった原因です。日本海側の地震というのは、断層が陸のすぐそばにいっぱいあります。ですので断層のところで生成された津波が陸地に伝わるまですごい短い時間で、早く来てしまうことがあります。


 一方で南海トラフとか日本海溝で起きる地震は、震源から陸までにある程度の距離がありますので、一部を除けば30分とかある程度時間があって津波が来るというところで、距離の差が到達時間の大きな差を生んでいると思います。



関西では南海トラフ地震が近い将来に必ず来ると言われている。しっかり備えておく必要がある。


(関西テレビ「newsランナー」 2024年1月4日放送)




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