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アーモンドアイ


ミスをしてしまったとき、あなたはどのように謝るだろうか。

適切な言い方を身につけていないと、謝罪が伝わらないときもある。

明治大学教授の齋藤孝氏は、「謝罪には謝罪専用の言葉を使うのがコツ」という。効果的な謝り方とは――。


※本稿は、齋藤孝『大人の語彙力大全』(KADOKAWA)の第3章「気持ちよく聞き入れてもらえる、大人の言い訳・謝罪・お願い」を再編集したものです。


謝罪でしか使えない言葉であやまる
社会人の謝罪の言葉として、「すみません」は不向きです。それを「すいません」なんて言おうものなら、「学生か!」と突っ込まれることでしょう。


「すみません」は、「いまのままでは済まされません」という意味なので、語義からすると謝罪の範疇に入ります。

ですが、なぜ不向きなのでしょうか。


それは汎用性が高すぎるからです。


お店で店員さんを呼ぶにも「すみません」、道端でアンケートを依頼するのも「すみません」、高価なプレゼントをもらっても「すみません」。

何かを頼んだり御礼を言ったりする場面でも使えるくらい一般的で汎用性が高いということは、ひとつひとつの場面での効力が弱くなり、言葉としての“重み”がなくなるのです。


つまり、「すみません」を謝罪の言葉として使うと、相手に軽くとらえられてしまうのです。


ではどうするか。謝罪には、謝罪専用の言葉を使うこと。

謝罪でしか使えない言葉、謝罪でしか使わない言葉を使うのです。



デキる人はやや大げさな「謝罪語」を使う

謝って許されたら素直に受け入れる

PRESIDENT Online2018/03/09 15:00




「私の不徳のいたすところでして、たいへん申し訳ございません」


「ご迷惑をおかけいたしまして、恐縮の体でございます」


「このようなことになりまして、慙愧の至りでございます」


「申し訳ありません」だけではなく、その前に「不徳のいたすところ」をつけると、同時に反省の気持ちが伝わります。

「不徳のいたすところ」とは、自分の至らなさゆえの失敗について反省の意を表明することで、謝りつつも、こんな自分が情けないというニュアンスが伝わります。


「恐縮の体」とは、身がすくむほどに恐れ入る様子。

迷惑をかけて本当に申し訳ないという気持ちが、見た目にも表れている状態です。


「慙愧の至り」とは、反省して心に深く恥じ入ること。

「慙愧」はもともと仏教語で、「慙」は恥じること、「愧」は人の表すことです。

漢字からもその様子が伝わってくるので、書き言葉での謝罪にも効果的です。


これらは、謝罪と反省がセットになる言葉という点で、口火を切る言葉としては適切です。


反省と謝罪と改善策をセットにして伝える

謝るときは、ただ反省して平身低頭するだけでなく、改善策を提示することも必要です。

反省しきったあとで、「これからはこうしていきます」という改善策とセットで、謝罪は完了すると心得ましょう。


謝った後も、会社での仕事や人間関係は続いていきます。

ですので、「ここまではしっかり謝ります。これから先はがんばります」という前向きな姿勢を見せたいものです。


「今後はミスのないよう、鋭意努力して参る所存です」


「努力」や「尽力」は、ただ「がんばる」と言う意味。

そこに、鋭い意志をもってことに当たるという意味の「鋭意」をつけるだけで、受け取る印象はずいぶん違います。

大事なことを忘れてしまったとき、「忘れました、申し訳ありません」「うっかりしていました、申し訳ありません」では謝り方としてはお粗末です。

こういうときは「失念しておりまして、誠に申し訳ありません」と言います。

「失念」は、うっかり忘れることという意味ですが、それをそのまま言うのでは実も蓋もありません。

ここは漢語表現の「失念」を使います。

そして「失念」してしまった後は、チェック機能を増やすようにするなど、今後失念せずに済むような対策を同時に伝えます。

大切なのは「誠意を的確な言葉にする」ことと、「同じ過ちを繰り返さない」ということ。

起こしてしまったミスやトラブルはなかったことにはできないのですから、「二度とこんなことはしません」という決意を伝えるのも謝罪の一部です。

齋藤 孝(さいとう・たかし)

1960年静岡県生まれ。
東京大学法学部卒業後、同大大学院教育学研究科博士課程等を経て、現職。
専門は教育学、身体論、コミュニケーション論。ベストセラー作家、文化人として多くのメディアに登場。
著書に『孤独を生きる』(PHP新書)、
『50歳からの孤独入門』(朝日新書)、
孤独のチカラ』(新潮文庫)、
『友だちってひつようなの?』(PHP研究所)、『友だちって何だろう?』(誠文堂新光社)、『リア王症候群にならない  脱!不機嫌オヤジ』(徳間書店)等がある。
著書発行部数は1000万部を超える。NHK Eテレ「にほんごであそぼ」総合指導を務める