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サカナクションの山口一郎が、

TOKYO FMのレギュラー番組に出演。

2018年に聴いた楽曲の中から“ベストソング”を5曲発表しました。

(TOKYO FM「SCHOOL OF LOCK! サカナLOCKS!」

12月27日(木)放送分)



山口:まず最初に、

2018年のベスト5曲というからって、

2018年に発売されたものではない。



常に音楽の考古学者みたいな……


古い音楽を

どんどん簡単に掘れる時代になっているから、

探っていっている段階。

だから今年聴いて響いた曲……

「これ、今の自分の年齢にぴったりきてる!」っていう5曲を紹介したいと思います。


結構マニアックなんだけど、

みんなのお父さんやお母さん世代だったり、


古い音楽を探っている人からすると、

「はいはい。

一郎さんそれね」みたいになっていると思う。


【第5位:「トマト・イッパツ」スペクトラム】

山口:1979年に発売された曲です。

スペクトラムは

アース・ウィンド・アンド・ファイアー

(Earth,Wind & Fire)っていう

めちゃくちゃ有名なソウルミュージシャンがいるんですけど、それに影響を受けた直後って感じの日本のミュージシャンですね。

ジャケットも全員がキン肉マンに出てくる超人みたいな服装でかっこいいんですよ。

当時の音楽番組に出てくるにはちょっとキワモノで……

出てくるのが早すぎたよね。


今聴いてもめちゃくちゃかっこいいし、

フェスで……ROCK IN JAPAN FESでやっていると思ったら……フーッ最高ー(笑)。

みんなが辿り着かない曲だと思って紹介しました。


【第4位:「赤とんぼ」大貫妙子&坂本龍一】


山口:年末の穏やかな時間を過ごしている人たちにとって、素晴らしい曲を紹介したいと思います。

これは2010年リリースの大貫妙子さんと

坂本龍一さんのコラボ楽曲です。


大貫妙子さんはね、

山下達郎さんと

シュガー・ベイブ(SUGAR BABE)っていうバンドを

やっていたのよ。

そのシュガー・ベイブもすごくいいバンドなのね。


大貫妙子さん自身もソロでやられていて、

坂本龍一さんと……

「童謡をこのコードにしちゃうのね」っていう渋さ。


(曲に聴き入りながら)

北海道の田舎の海、川……そこに立って、

時には流れの速い川の中で、

流れに負けないように立ちながら釣竿をたらして魚を探していたあの頃。

今じゃ東京に来て、

流行という流れの中で足を踏ん張って立ち続けている

……そんなおじさんが東京の家でゆっくーり聴くわけ。

……するといろいろ思い出すのよ。

みんなもいろんなことを思い出す曲だと思う。

これは、ニューアルバムを作っている真っ最中にいる僕らにとっての4位!

郷愁感!




【第3位:「ユー・ゴーイン・ミス・ユア・キャンディマン」テリー・キャリアー】

山口:これは1968年だからね……

ぞっとしない?

 1968年にこんな音楽がもう生まれちゃってたんだよ! 

アコギなんて、

ダラタン、ダラタン、ダラタン……って

フレーズだけだからね。

これだけでいいんだよ! 

曲の後半はホーンとかも入ってくるので楽しんでいただきたいんだけど、

今はいろいろ聴く手段があるので探してもらえたら。


『ファーゴ』とか、

すごい名作を作っているコーエン兄弟っていう映画監督がいるんだけど、その監督の映画で『オー・ブラザー!』っていう作品があるんですよ。

そこで、ジョージ・クルーニーがカントリーを歌うの。

それがすごくよくて、

そこから古いカントリーとかブルースを聴くようになって、

このテリー・キャリアーに出会ったの。

このベースの入りから、

パーカッションが入ってくる感じと、

後半のホーンの感じが最高に痺れてかっこいいー! 

これはね、Arabaki Rock Festとかで

聴きたいね! 

アラバキ系なのよね(笑)。


特に2018年は、

僕とのマッチ度が高かったから頻繁に聴いていたね。

(ベースの草刈)愛美ちゃんにも言ったもん。


「こういうベースやろう! 

こういう曲やろうよ!」って(笑)。





【第2位:「ホワット・ユー・ウォント・ドゥ・フォー・ラヴ」ボビー・コールドウェル】

山口:これは1978年の曲……まだ生まれてないよ。

バンドをやっている君たち、

これを演奏してごらんなさいよ! 

全員がこの感じを捉えていないと、

ここにいけないからね。


全部がバッチリだよね。

これはAORっていうジャンルなんですね。

1978年頃に流行ったんだけど、

AORっていうのはこういうムーディーな……

夜景を見ながら

三角形のグラスにシャンパンやカクテルを入れて、

チーン!って飲む感じだよね。


これは当時日本で結構流行った曲なので、

お父さんやお母さんの中には好きな人が多かったんじゃないかなと思うね。

最近、

日本のシーンにこういう雰囲気の曲調が出てきているのは、この辺のコンテクストがあるんじゃないかな。


僕も大好きだし、

僕の中ではAORが今年きてますね。



【第1位:「ほうろう」小坂忠】

山口:これは1975年の曲なんだけど、

バックバンドはすごいメンツが演奏しているのよ。

ベースは細野晴臣さん、

ギターは鈴木茂さん、

ドラムは林立夫さん……

ティン・パン・アレーのいっちばん脂が乗りに乗っている頃の演奏に、小坂忠さんが歌っているっていうね。

これはもう素晴らしい歴史に残る1曲なんだな。


しかも細野さんとか当時20代ですからね。

恐るべき演奏力ですよ! 

うまい人しかミュージシャンになれなかった時代よね。

スタジオミュージシャンっていう素晴らしい演奏家たちの中でも、特に素晴らしい人しかプロになれなかった時代だから。

とんでもない人たちがいた……

神々たちの戯れの時代だからね(笑)。

その中でもこの曲は誰もが認める1曲なので、

現代に生きる皆様に

2018年の1位として紹介したいと思います。