深夜の高速道路

 

 

神戸の阪神高速道路から山陽自動車道道路に入る頃には日付が変わっていた。

 

眠気覚ましに車内で流していた音楽も、

 

体から変なアドレナリンが出ていたせいか全く聞かずに

 

ただ車を走らせていた。

 

途中で何度か立ち寄ったサービスエリアも心は休まらなかった。

 

 

 

 

 

結局、広島市にいる彼の家に着いたのは4時前だった。

 

マンションの下まで出迎えてくれていた彼の顔を見て、

 

なんとも言えない安堵感を覚えた。

 

車を近くのコインパーキングに駐車し、

 

マンションのエレベーターで部屋まで上がる間も

 

何度も「こんな時間に申し訳ない。本当にありがとう」と彼が繰り返す。

 

「謝らんでいいから」と返すも

 

その言葉を聞いて、会いに来て良かったんだと心底思った。

 

 

 

リビングに案内されると、部屋の隅には荷造りされた段ボールが何箱か積まれていた。

 

「来週、この家から引っ越すんよ」

 

そう言いながら台所に行き冷たいお茶を用意してくれた。

 

 

「実は、あの電話をくれるまでなんにも手につかなくて、

 

来週引っ越しやって分かってても何もやる気が湧かなくて。

 

食べることも動くことも何もしたくない、みたいな。

 

そんな時に家に来てくれるってなって、なんかやっと少し動く力が湧いたわ」

 

 

テレビボードに置かれた写真の抜かれた写真立て、

 

壁には子どもが描いたであろう似顔絵が1枚だけ飾られている。

 

今から聞く理由はどうであれ、

 

ここから彼を救い出さなければいけない、そう思った。

 

 

 

覚悟は決まった。

 

 

 

「なんで離婚になってしまったん?」

 

本題を切り出すことにした。