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今日は過去にも記事に書いた
お話ではありますが、
ときどき思い出す
私にとっては忘れられない
出来事でしたので
改めてお話したいと思います。
私は起業する前のサラリーマン時代、
保育業界の営業マンをやっていました。
保育園・幼稚園の園長先生に
パソコンや自社開発のソフトを
販売する仕事です。
今日は私が
あるお客様の言葉に
感動して涙がこぼれ落ちたお話です。
それはもう10年以上も
前の話になります。
私の担当ユーザーである保育園さん。
ご商談相手は
園長先生のAさんです。
そろそろ、そのお客様の
以前購入いただいたパソコンセットの
交換時期（契約満了期）ということで
私は新作の説明に出向きました。
いわゆる市場にある
パソコンではなく、
パソコンと自社開発のソフト数種と
われわれ営業マンのサポート人件費を含めて
セット販売をするので
１００万円以上のものになります。
更新の商談、
結果的に
お断りされました。
Aさんからは、
「うーん、〇〇さんのところ（当社）は高いので、
次回は正直、他のところにしようかと
思っているんだよね」
という回答でした。
私は営業マン時代が
長かったので、
そんなときでも
「営業は断られたときからスタート」
という想いがあります。
なので、それからも、
ときどきAさんの保育園には
顔を出させてもらっていました。
あるとき、Aさんから
連絡がありました。
「プリンターが
うまく作動しないんだよね」と。
電話サポートでも
解消しなかったので、
私はAさんの園に夕方出向きました。
プリンターは当社のものではなかったのですが、
大型のプリンターで、
中で紙詰まりを起こしているようでした。
「自社のものでなければ
その会社の人に来てもらえば」
…そう思われるかもしれないですが、
当時、
その業界の営業マンは、
ある意味御用聞き。
パソコン、
IT関連はなんでも
相談に乗るのがスタイルでした。
言われることにはなんでも対応するという
それがある意味
「ウリ」にもなっていたのでした。
プリンターの紙詰まりを直す
作業をしているうちに、
ふと気づくと、
私のネクタイは、
そのプリンターのインクが付着して
真っ黒に汚れてしまっていました！
実はそのネクタイ、
新調したばかりだったんですｗ
「久保田さん、すみません、
明日、業者を呼ぶので
そこまでしていただかなくても大丈夫ですよ」
とAさんは言ってくださったのですが、
先生も急ぎの資料があるそうなので、
なんとか直したいという一心でした。
その後…
ようやく自力で直せたのですが、
そのときには、もう園も締まり、
保育士さんたちも帰られた時間帯でした。
Aさんは
「久保田さん、ありがとうございます！
こんな時間帯になってしまって申し訳ない。
お礼に今から一緒に家内と3人で食事にどうですか？」
と言われました。
私はお言葉に甘えて、
近くの鰻屋さんにAさんと奥様に
連れて行っていただきました。
Aさんご夫妻は私の対応を
ものすごく喜んでくれていました。
そして話が弾み、
Aさんはご家族の
お話もされました。
実はAさんご夫妻の一人息子さんは、
息子さんがまだ小さいころに
病気で亡くなられていたそうなのです。
Aさんは
「息子が今生きていたら、
ちょうど久保田さん
くらいの年代かな」
とポツリと言われました。
当時の私は
３０代後半でした。
Aさんは、普段、
保育園で見る園長先生の顔ではなく、
１人の父親の顔になられていました。
Aさんご夫妻は、
私がインクまみれになってまで、
プリンターを直したことに
何度も感謝していただき
私も心から
うれしい気持ちになりました。
ネクタイ１本
無駄になったことすら忘れて。
そして、次の日。
Aさんから、
当社のパソコンセットの
更新の依頼がありました！
と営業事務のほうから連絡がありました！
私は速攻、
Aさんに
お礼の電話をしました。
Aさんは、
「久保田さんに
そこまでやっていただいて
断るわけにはいかないからね」
と笑っていられました。
私は電話を切ったあと、
Aさんの
「息子が今生きていたら、
ちょうど久保田さん
くらいの年代かな」
と話してくれたときのことを
思い出しました。
寂しそうなAさんと奥様の顔が浮かんできて
私は電話を切ったあと
涙が溢れました。
そして、
心の中で
つぶやきました。
「Aさん、
ありがとうございました！」
それは自社の商品が
売れたことの喜び以上に、
大切なものを教えてくださったことに対して。
パソコンセットの機能や値段だけを見たら、
他にも優れた会社も
あったかもしれません。
でも、Aさんは
当社を、私を、
選んでいただきました。
どんな商品を買うかより
だれから買うかも大事。
今、私は
起業して１２年たちますが
ときどきAさんご夫妻のことを思い出します。
「ビジネスは“人”」
そのことがあって以来、
どんな時代や環境になっても
私は、ビジネスをやる上で
“情熱”と“優しさ”だけは
絶対に忘れないように
しようと思っています。
このITとオンラインの時代、
クリック一つで
なんでも買える時代。
人とリアルに会わずしても
パソコン一台で
セールスができる時代です。
自らも
オンライン型ビジネスを
推奨している立場です。
でも
そんな時代だからこそ、
“情熱”と“優しさ”は
絶対に
忘れないようにしたい！
昭和の人間の
古臭い考えかも
しれないですが、
それだけは
私が譲れない
ビジネスの信念です！
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