2月7日(土)、8日(日)、11日(水)と、秋葉原駅のすぐ近くにあるUDXシアターで、東京国際フットボール映画祭が開催されています。日本初公開はもちろん、世界初公開の映画も上映される、すごい映画祭です。「フットボール」というタイトルのとおり、全てがサッカーに関する映画です。ここ最近、映画館にすらずっと行っていなかったのと、Jリーグ開幕前でサッカーに飢えていたのもあり、たまたま映画祭のことを知った日に、すぐ前売り券を購入しました。
東京国際フットボール映画祭

(写真:映画「Sons of Ben」のツイートより)
上映7作品のうち、わたしが観たのは5作品。
「MESSI」では、リオネル・メッシの子供時代のことや、家族のことがいろいろ採り上げられ、改めて彼の才能やすごさを感じたとともに、家族、チームメートや監督の支えなど、彼と彼の周りの人たちとの関わりがとても興味深かったです。映画を観て、(あるエピソードを知り)ロナウジーニョがちょっと好きになりました。映画の最後に出てくる、メッシと亡くなったおばあちゃんのエピソードは、胸にじーんときました!これからは、メッシが点数を決めたときの、あのポーズを見るたび、それを思い出します。
「イスタンブール・ユナイテッド —サポーター革命—」は、お互い強くライバル意識をもって戦っている3つのクラブのサポーターたちが、ある一つの事件をきっかけに団結して、町の人々とともに立ち上がるドキュメンタリー。スタジアムや選手の様子はほとんど映しておらず、サポーターに焦点を当てた作品。映画を観た後、この映画に出てくるクラブの一つ、ガラタサライの試合を観てみたくなりました。(普段から試合で発煙筒や催涙ガスといったものに慣れているサポーターたちが、公園の強制取り壊しに反対する市民の輪に加わり、警察の催涙ガスにも動じず、団結して公園を守ろうとする姿は圧巻でした。ガスマスクとか普通に持っているサポーターがたくさんいて驚きました。催涙ガスに目を痛めた人たちにも、テキパキと慣れた手つきで応急処置を準備したり、すごかったですw)
「FCルワンダ」は、1994年に国内で起こった大虐殺事件という悲劇の「その後」、サッカーを通じて人々が何を見、何を感じているのか、人々にとってサッカーはどのようなものなのか、選手や現地のジャーナリストのインタビューを交えながら、ルワンダのある二つのサッカーチームのことを採り上げています。政治的背景、文化的・民族的背景、いろいろ考えさせられた映画でした。
「ベンジャミン・フランクリンの息子たち—アメリカン熱狂サポーターライフ—」は、愛する「わが町」にプロのサッカーチームを作ろうとする、サポーターたちの実話。「この町にサッカーチームが欲しい!」その一心で、なんとまだチームもスタジアムもないのにもかかわらず、サポーターグループ「Sons of Ben」が誕生。夢の実現へ向け、動き出し、そして……という話。「愛するチームがある」者として、いろいろ共感できました。(映画を観ていて、なぜか松本山雅を思い出したのはここだけの話。)
「We are REDS! THE MOVIEー開幕までの7日間」は、文字どおり、浦和レッズのドキュメンタリー映画です。サポーターの方々もいろいろ出てきて、あぁ、応援するクラブは違っても、自分たちのクラブを応援する気持ちだったり、サッカーへの思いだったり、共通することはあるなぁと思いながら観ていました。
どの映画も、心から「観れてよかった!」と思ったのですが、その中で「ベンジャミン・フランクリンの息子たち—アメリカン熱狂サポーターライフ—」について少し。
上にも少し書きましたが、この映画は、自分たちの町にサッカークラブが欲しい!と思う人たちが「Sons of Ben」というサポーターグループを設立し、クラブ誕生に向けて奮闘する、という実話です。その奮闘ぶりがすばらしかったです。口コミやネットでの地道な宣伝はもちろん、まだ実際にはクラブがないのに、Tシャツやタオマフやマグネットといったグッズを作り、じわじわと人々を巻き込む活動を続けるSons of Benのメンバーたち。どこかで試合があれば足を運び、まだ実在しない「俺たちのクラブ」のコールをし、チャントを歌い、ときにはスタジアムにいるサポーターたちから変な目で見られることも。それでもめげずに働きかけを続ける彼ら。それがいつしかサッカー雑誌やその他のメディアで採り上げられ、奇跡が始まるのです。
わたしが「いいなぁ」と感じたのは、最初はとにかく「自分たちの町にサッカーチームが欲しい」という思いだけだったのが、いつしか「(まだチームはないけれど)サポーターとして、町のために何かできることをしたい」という思いが生まれ、行動に移したこと。また、町の人たちも、サッカーチームが誕生することで、子供たちにもいい影響があるだろうとか、スタジアムや様々な施設ができることによって、貧困や犯罪のある町も良い方向へ向かっていけるのではないかという、希望と期待を持ち始めたこと。町を愛する人たちの思いが少しずつ、一つになっていく、そんな感じでした。
そしてついに、チェスターの町に「フィラデルフィア・ユニオン」というプロサッカーチームが誕生するのです。そして、すばらしいスタジアムも。実際にサポーターとして、チームの「誕生」に立ち会えるなんて、なかなかないんじゃないかなぁと思いました。
映画の上映後、ゲストとして、実際にSons of Benのメンバーであり、フィラデルフィア・ユニオンのサポーターであるDan Orlowitzさんが登場し、この映画について、また、アメリカのサッカー事情について少しお話ししてくださいました。(Danさんは現在、日本でサッカー関連の記事などを書いて活動中)
日本にも、プロアマ問わず、数え切れないほどのサッカーチームがあり、サポーターたちがいます。応援するチームは違っても、自分たちのチームを愛する気持ちは変わらないよね、と思いました。
「イスタンブール・ユナイテッド 」で、ガラタサライのサポーターが言った言葉が印象的でした。セリフそのものは覚えていませんが、彼が言ったのは、チームのユニフォームを着ると、自分はチームの代表なのだから気が引き締まる、試合中は酒も飲まないし、という言葉でした。選手たちが試合で戦う間は自分たちも戦うのだと。
ちなみに、「ベンジャミン・フランクリンの息子たち—アメリカン熱狂サポーターライフ—」は、なんと本国アメリカでもまだ公開されておらず、日本が世界初上映なんです!この映画の監督さんが、ぎりぎりまで編集を頑張り、今回のフットボール映画祭に間に合うように届けてくださったと聞きました。それを知り、すごくうれしかったですね。フィラデルフィア・ユニオンのサポーターの皆さんに会ってみたくなったし、彼らの夢が実現したスタジアムも見に行ってみたくなりましたし、試合も観てみたくなりました。
ちなみに、この日上映された5作品、どれもすばらしい映画ばかりでしたが、「ベンジャミン・フランクリンの息子たち」のときだけ、上映が終わって場内に明かりがついた途端、どこからともなく拍手がわき起こったんです。何かが観客の心を動かしたんでしょうね!
東京国際フットボール映画祭、サッカーに興味のある人だけでなく、海外の社会問題や民族問題などに興味のある方にもお勧めです。わたしもこの映画祭に参加し、サッカーって単なるスポーツではなく、いろんな面で影響力があるんだなと、あらためて思いました。
作品によってはまだ前売り券・当日券が手に入るものもあるようなので、皆さんもぜひ足を運んでみませんか?
東京国際フットボール映画祭
http://football-film.jp

(写真:東京国際フットボール映画祭公式サイトより)
東京国際フットボール映画祭
@football_film_J

(写真:映画「Sons of Ben」のツイートより)
上映7作品のうち、わたしが観たのは5作品。
「MESSI」では、リオネル・メッシの子供時代のことや、家族のことがいろいろ採り上げられ、改めて彼の才能やすごさを感じたとともに、家族、チームメートや監督の支えなど、彼と彼の周りの人たちとの関わりがとても興味深かったです。映画を観て、(あるエピソードを知り)ロナウジーニョがちょっと好きになりました。映画の最後に出てくる、メッシと亡くなったおばあちゃんのエピソードは、胸にじーんときました!これからは、メッシが点数を決めたときの、あのポーズを見るたび、それを思い出します。
「イスタンブール・ユナイテッド —サポーター革命—」は、お互い強くライバル意識をもって戦っている3つのクラブのサポーターたちが、ある一つの事件をきっかけに団結して、町の人々とともに立ち上がるドキュメンタリー。スタジアムや選手の様子はほとんど映しておらず、サポーターに焦点を当てた作品。映画を観た後、この映画に出てくるクラブの一つ、ガラタサライの試合を観てみたくなりました。(普段から試合で発煙筒や催涙ガスといったものに慣れているサポーターたちが、公園の強制取り壊しに反対する市民の輪に加わり、警察の催涙ガスにも動じず、団結して公園を守ろうとする姿は圧巻でした。ガスマスクとか普通に持っているサポーターがたくさんいて驚きました。催涙ガスに目を痛めた人たちにも、テキパキと慣れた手つきで応急処置を準備したり、すごかったですw)
「FCルワンダ」は、1994年に国内で起こった大虐殺事件という悲劇の「その後」、サッカーを通じて人々が何を見、何を感じているのか、人々にとってサッカーはどのようなものなのか、選手や現地のジャーナリストのインタビューを交えながら、ルワンダのある二つのサッカーチームのことを採り上げています。政治的背景、文化的・民族的背景、いろいろ考えさせられた映画でした。
「ベンジャミン・フランクリンの息子たち—アメリカン熱狂サポーターライフ—」は、愛する「わが町」にプロのサッカーチームを作ろうとする、サポーターたちの実話。「この町にサッカーチームが欲しい!」その一心で、なんとまだチームもスタジアムもないのにもかかわらず、サポーターグループ「Sons of Ben」が誕生。夢の実現へ向け、動き出し、そして……という話。「愛するチームがある」者として、いろいろ共感できました。(映画を観ていて、なぜか松本山雅を思い出したのはここだけの話。)
「We are REDS! THE MOVIEー開幕までの7日間」は、文字どおり、浦和レッズのドキュメンタリー映画です。サポーターの方々もいろいろ出てきて、あぁ、応援するクラブは違っても、自分たちのクラブを応援する気持ちだったり、サッカーへの思いだったり、共通することはあるなぁと思いながら観ていました。
どの映画も、心から「観れてよかった!」と思ったのですが、その中で「ベンジャミン・フランクリンの息子たち—アメリカン熱狂サポーターライフ—」について少し。
上にも少し書きましたが、この映画は、自分たちの町にサッカークラブが欲しい!と思う人たちが「Sons of Ben」というサポーターグループを設立し、クラブ誕生に向けて奮闘する、という実話です。その奮闘ぶりがすばらしかったです。口コミやネットでの地道な宣伝はもちろん、まだ実際にはクラブがないのに、Tシャツやタオマフやマグネットといったグッズを作り、じわじわと人々を巻き込む活動を続けるSons of Benのメンバーたち。どこかで試合があれば足を運び、まだ実在しない「俺たちのクラブ」のコールをし、チャントを歌い、ときにはスタジアムにいるサポーターたちから変な目で見られることも。それでもめげずに働きかけを続ける彼ら。それがいつしかサッカー雑誌やその他のメディアで採り上げられ、奇跡が始まるのです。
わたしが「いいなぁ」と感じたのは、最初はとにかく「自分たちの町にサッカーチームが欲しい」という思いだけだったのが、いつしか「(まだチームはないけれど)サポーターとして、町のために何かできることをしたい」という思いが生まれ、行動に移したこと。また、町の人たちも、サッカーチームが誕生することで、子供たちにもいい影響があるだろうとか、スタジアムや様々な施設ができることによって、貧困や犯罪のある町も良い方向へ向かっていけるのではないかという、希望と期待を持ち始めたこと。町を愛する人たちの思いが少しずつ、一つになっていく、そんな感じでした。
そしてついに、チェスターの町に「フィラデルフィア・ユニオン」というプロサッカーチームが誕生するのです。そして、すばらしいスタジアムも。実際にサポーターとして、チームの「誕生」に立ち会えるなんて、なかなかないんじゃないかなぁと思いました。
映画の上映後、ゲストとして、実際にSons of Benのメンバーであり、フィラデルフィア・ユニオンのサポーターであるDan Orlowitzさんが登場し、この映画について、また、アメリカのサッカー事情について少しお話ししてくださいました。(Danさんは現在、日本でサッカー関連の記事などを書いて活動中)
日本にも、プロアマ問わず、数え切れないほどのサッカーチームがあり、サポーターたちがいます。応援するチームは違っても、自分たちのチームを愛する気持ちは変わらないよね、と思いました。
「イスタンブール・ユナイテッド 」で、ガラタサライのサポーターが言った言葉が印象的でした。セリフそのものは覚えていませんが、彼が言ったのは、チームのユニフォームを着ると、自分はチームの代表なのだから気が引き締まる、試合中は酒も飲まないし、という言葉でした。選手たちが試合で戦う間は自分たちも戦うのだと。
ちなみに、「ベンジャミン・フランクリンの息子たち—アメリカン熱狂サポーターライフ—」は、なんと本国アメリカでもまだ公開されておらず、日本が世界初上映なんです!この映画の監督さんが、ぎりぎりまで編集を頑張り、今回のフットボール映画祭に間に合うように届けてくださったと聞きました。それを知り、すごくうれしかったですね。フィラデルフィア・ユニオンのサポーターの皆さんに会ってみたくなったし、彼らの夢が実現したスタジアムも見に行ってみたくなりましたし、試合も観てみたくなりました。
ちなみに、この日上映された5作品、どれもすばらしい映画ばかりでしたが、「ベンジャミン・フランクリンの息子たち」のときだけ、上映が終わって場内に明かりがついた途端、どこからともなく拍手がわき起こったんです。何かが観客の心を動かしたんでしょうね!
東京国際フットボール映画祭、サッカーに興味のある人だけでなく、海外の社会問題や民族問題などに興味のある方にもお勧めです。わたしもこの映画祭に参加し、サッカーって単なるスポーツではなく、いろんな面で影響力があるんだなと、あらためて思いました。
作品によってはまだ前売り券・当日券が手に入るものもあるようなので、皆さんもぜひ足を運んでみませんか?
東京国際フットボール映画祭
http://football-film.jp

(写真:東京国際フットボール映画祭公式サイトより)























