定期的に本棚の本をBOOK-OFFやVALUE BOOKSに買い取ってもらっている。
森見登美彦風に言えば、本を本の海に還すのだ。新たな持ち主の所に無事流れついてほしいな…と思う。
他方で、おそらく私の手元にずっとあるであろう本も数冊。
こちらの本はその中の1冊。
カバーは、ハイハイをしていた頃の娘にぐしゃぐしゃにされてしまった
中のページが無事で良かった。
ちょうど綸子の着物をリメイクしたブックカバーがあったので、以来それをこの本のカバーとしている。
日日是好日/森下典子
あらすじ&感想
茶道を嗜み25年の著者のエッセイ。
上手くいかない就活。結婚2ヶ月前の破局。父の死…人生の困難な節目に、いつもお茶があった。
茶道を通し、四季の移ろいを感じる事で、自分と向き合い、もう一度歩き出す。
この本をはじめて手に取ったのは、娘の育児に疲れ果てていた頃です![]()
当時私は、常に睡眠不足で、ぼーっとしていたかと思えば、マイペースを崩さない旦那にイライラしたり、読む本と言えば、育児書Only…という精神的にも肉体的にもアップアップの状態でした。
ちょうど本作の映画化が決まった頃で、何かのひょうしに小耳に挟み、頭の片隅にあったからかな…
書店でなんとなく手に取ったのでした。
なお、茶道といえば和の習い事の代表格ですが、私は高校の部活で、仮入部の段階で辞めてしまったので、全然知識はありません
棗とふくさ、懐紙位ならわかるよ←このレベルです。
ものすごく疲れていた私にとって、本作は一服の清涼剤どころの騒ぎではなく…曇り空がいきなりスコーンと晴れたかの様な救いの1冊でした。
人生で沈没しそうな時、時々本に助けられるけど、私にとって本作もそのうちの1冊になりました![]()
泣きそうになったのはやはり、この部分。
『会いたいと思ったら、会わなければいけない。好きな人がいたら、好きだと言わなければいけない。花が咲いたら、祝おう。 恋をしたら、溺れよう。嬉しかったら、分かち合おう。
幸せな時は、その幸せを抱きしめて、百パーセントかみしめる。それがたぶん、人間にできる、あらんかぎりのことなのだ。』
父の死に直面し『一期一会』について考える筆者。1文1文が美しい悟りの様です。
筆者は自分の考えに言葉が追いつかず、結果、沈黙になる‥と言う状態を『走って誰かに伝えに行きたいような胸の熱さと、言葉が追いつかない虚しさと、言いたいけど言えないやるせなさが、せめぎあう沈黙。沈黙とは、こんなに熱かったのか......。』と表現していますが、本当にそうよね、と共感すると同時に、ここまで読んできて、言葉にしにくい茶道の心の動きだとか、茶道が何を希求しているのか、という部分をここまでクリアにできる文章力がすごいと思いました。じゅうぶん言葉が追いついてると思うんだけど。
また、『現実を生きるために、お茶に通った』と筆者は述べていますが、これに似た表現を辻村深月さんも『図書室で暮らしたい』で仰ってました![]()
筆者はお茶、辻村先生は読書。
辛い現実を生きるため、ひと時、自分が『無』になる瞬間はなくてはならない物なのでしょうね。
茶道のお話ですが、季節や美味しそうな和菓子の描写などもあり、読みやすいかと思います![]()
最近忙しくて辛い…なんとなく癒やされたい…という時にオススメの1冊です😌
皆様、夏の疲れが出ているご様子

