2000年の夏に一人旅をした
カナダ西部。
15日間の旅路の中で
今になっても忘れられない
出来事がありました。
それはバンフ国立公園の
レイク・ルイーズを
目指す途中に起こりました。
とにかく広大な国立公園内は
目指す場所によって
バスを乗り換える必要がありました。
私はバス代を節約しようと
(今にして思えば、しょーもない額。)
バス停から徒歩30分と記されていた
レイク・ルイーズまで
散策しながら向かうことを決めました。
↑レイク・ルイーズ
「方向音痴ではない。」という
根拠のない自信が裏目に出て
あの広大な敷地の中で
迷子になってしまったのです。
1時間30分歩いても
湖の「み」の字もまったく
見えてこないことで
完全に迷ったことを自覚 。
悔しかったけれど諦めて
来た道を引き返しました。
↑キャッスル・マウンテン
坂道を登り続けていたため
体力を消耗しトボトボと
道を下っていた時
私の横を通りすぎた車が急停車。
「なんだろう?」
と思ったと同時に
車の窓から日本語を話す
女性が話しかけてきてくれました。
車内には若い日本人ファミリーが。
バンフ在住の方で
目的地へ行く途中に
坂を登っていた私を見かけて
用事を済ませて帰る途中
ほぼ同じ場所で
今度は下っている私を見かけて
心配して声をかけて
下さったのです。
ご厚意に甘えて
レイク・ルイーズのほとりまで
車で送って頂きました。
嬉しくて、車内で何度
「ありがとうございます。」
と口にしたことか…。
↑マリーン湖(シャスパー国立公園)
氣になるけど
車で通り過ぎてしまうことは
簡単だったと思います。
日本人っぽい姿だけど
何者とも分からない私に
声をかけて下さることは
勇気がいったと思います。
あの日・あの時・あの場所で
迷子になった私に
たくさんの奇跡が重なって
21年経っても感謝の気持ちが
湧き上がる思い出があります。
目的地レイク・ルイーズの
エメラルドグリーンの煌めきが
感激と安堵で
どれほど美しく見えたことか。
あのご家族に
直接御礼はできないけれど
地元でキョロキョロと
道に迷っている人を見かけると
お節介と承知で声をかけるのは
私にできるせめてもの
恩送りなのです。